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「今シーズンのCTで印象に残った選手」- F+コラム

Text by つのだゆき、Photo by WSL

質問
CTのレギュラーシーズンは終わり、ファイナルズを残すのみとなりましたが、ユキさんが今シーズン印象に残った選手とその理由を聞かせてください。



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ジョンジョンとガブのツートップを欠いた今シーズンは、けっこう特殊なシーズンと言えると思う。いろんな方向で印象に残る選手はいるけど、そうだね、メンズはジャック・ロビンソン、ウイメンズはブリッサ・ヘネシーかな。
ジャック・ロビンソンはジョンジョンと同じようにローティーンの頃からビッグバレルが得意な選手として騒がれていて、ハワイのジョンジョン、ウエスタンオーストラリアのジャック、みたいな感じだった。騒がれてはいたものの、なかなかうまく回らず、いいときと悪いときのアップダウンがひどく、サーフィンは上手いのに芽が出ないというか、まぁ、そういう選手はたくさんいて、例えばオウエン・ライトの弟のマイキー・ライトとか、レオナルド・フィオラヴァンティとか、ジュリアン・ウイルソン、ジョーディ・スミス、イーサン・ユーイングもそうだったと思うし、古くはブルース・アイアンズとかタジ・バロウ、前回書いたデーン・レイノルズなんかもそのグループかなと思う。今シーズンのグリフィン・コラピントもそうかね。年間2勝してトップ5に入らない成績って、アップダウンひど過ぎというか、どこかでもう1ラウンド行けなかったかね、って感じ。

とにかく、しっかりした歯車を持っていて、それを回す力もあるのに、何かが足りなくてかみ合わずにトップグループに上がってこれない選手のグループ。その何かは人それぞれだけど、長いことそれをやっているとモチベーションが続かずに消えていくという結果をたどる。でも、どこかでスイッチさえ入ればジョンジョンとかジャックのように歯車は回り始めるし、勝てるようになる。そのグループの人たちはそのポテンシャルは持っている。

あのレベルでトップにいるというのはトレーニングにしてもサーフィンそのものにしても、血のにじむような努力の結果なわけで、その努力をプッシュするのが勝ちたいという気持ちとモチベーション。でも人間誰しも結果が出ないのに血のにじむ努力を続けるというのは難しくて、たいていどこかで心が折れてしまう。

試合で勝つには、勝ちたいという強い気持ち、努力のためのモチベーション、そして何より強い自信が必要だ。根拠のない自信でもなんでもいい。自信は運を呼び込む。それらがそろって初めて歯車は回りはじめるのだが、それらのどれかがほんの少し欠けても歯車にズレが生じ、機械そのものが動かなくなる。

ジャック・ロビンソンは長いこと、得意な波ではいいけど、不得意な波はまるでダメ、という選手で、今シーズンのような安定感はまるでなかった。今まではたとえ同じ努力をしていても、結果が出ない、自信を失う、負けたらどうしよう、やる気が起きない、みたいな負のスパイラルにハマってたように思う。

オフに何があって何をしたのかはわからないけど、メンタル、フィジカル、テクニカル、相当努力したんだと思う。それは身体を見ても明確だ。どれだけトレーニングしたのかわからないけど、以前のジャックとは別人のような体つきをしている。特にケツ筋と裏モモあたり、ウエットスーツの後ろ姿見てびっくりだわよ。だいぶ負荷をかけてのトレーニングだと思う。あとは不得意なビーチブレイクとかものすごく練習したんだろうな、と思う。

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そしてその結果がオーストラリアレッグからGランドで出たことで自信が加速し、負けない、という気持ちが維持できるようになり、それでまた結果が出て自信が加速するという相乗効果が後半のコンスタンシーにつながった。
ジャック・ロビンソンがこんなにコンスタントな成績を残せる選手になるとは想像していなかったので、今シーズン最も印象に残った選手と言える。

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女子のブリッサ・ヘネシーも同じで、ここ数年、リクオリファイのボーダーラインの常連だったが、パイプ5位サンセット優勝でイエロージャージー。ブリッサがポイントリーダーって予想だにしなかったし、たぶんそれは本人が一番びっくりだったろうから、そこで人生の景色が変わったのは容易に想像できる。本当に自信って人を変えると思う。その自信は、あれだけやったんだから負けるわけがない、という努力と同時に、やはり結果がついてきて初めて手にできるものなんだな、と再認識した今シーズンだった。
自信と結果、けっこうニワトリとタマゴ的なところはある(笑)。

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