コンテスト
CT第7戦『Surf City El Salvador Pro』を制したのは?
全10戦プラス、トップ5による『Rip Curl WSL Finals』で争われる2022年のワールドツアーは早くも終盤戦に差し掛かっています。
ミッドシーズンカットによってメンズ24名、ウィメンズ12名に選手数が絞られた後半戦のセカンドイベント、CT第7戦『Surf City El Salvador Pro』がCTでは史上初の舞台となる中米・エルサルバドルで開催され、現地時間6月17日に全てのスケジュールが終了。
二つのマンオンマンヒートを同時進行させるオーバー ラッピングヒートを利用したとはいえ、WSLが以前から構想していたコンパクトなツアーの実現により、前半戦のフルメンバーで4〜5日はかかっていた1イベントが2日半に短縮。
但し、エルサルバドルを代表するライトのバレル、プンタ・ロカの真の姿を最後まで見ることは出来ず、それは来年以降に持ち越しになりました。
ステファニーがCT通算33勝目で3位に浮上
PHOTO: © WSL/Thiago Diz
プンタ・ロカのブレイクがホームのスナッパーロックスに似ていることから、優勝候補の筆頭だったステファニー・ギルモア(AUS)が今シーズン初優勝。
Elimination Round、QFでは8ポイント、前日にカリッサ・ムーア(HAW)を倒したキャロライン・マークス(USA)とのSFでは7ポイント2本を揃え、レイキー・ピーターソン(USA)とのファイナルでも安定したライディングで前半に7.33、後半に5.67を出して逆転に成功していました。
優勝後のインタビューでは、ムーチャス・グラシアス(どうもありがとう)とスペイン語での挨拶から始まり、「最高に嬉しい。キャロラインに勝ったことが凄い自信になり、優勝も可能だと思ったわ。レイキーは素晴らしいサーファーだからファイナルは厳しい戦いになると思った。これ以上のことはないわ。私は本当にコンテストで勝つことが大好きだし、このスポーツが大好きなのよ。旅にも行けるし、楽しい波にも乗れる。これこそ、’pura vida’(コスタリカの挨拶で素晴らしいという意味を持つ)だわ。道のりは長いけど、再びワールドタイトルが欲しい。まだコンテストは沢山残っているし、やるべき仕事もあるわ。でも、今はこの場所にいることが幸せだし、素晴らしい経験になっている」と話していました。
PHOTO: © WSL/Pat Nolan
ケリーがキングならステファニーはクイーンと数々の記録を持っているステファニー。
今回は自身のCT最多優勝記録を33回に塗り替えています。
ちなみに現在、ワールドタイトルの数は7回とレイン・ビーチェリーと並んでいますが、更新する可能性も十分にありそうです。
ステファニーは今回の優勝でランキングも3位に浮上。
トップはカリッサ・ムーア(HAW)が維持し、ジョアン・ディファイ(FRA)が2位に浮上。
Elimination Roundで敗れたブリッサ・ヘネシー(CRI)は2位からステファニーと同率3位に下がっています。
なお、今回2位になったレイキーは2021年シーズンの大半を腰痛により欠場。
ランキング5位まで上がり、ステファニー、ブリッサとの差も僅か1,280ポイントです。
PHOTO: © WSL/Thiago Diz
今年のグリフィンは強い
PHOTO: © WSL/Thiago Diz
メンズサイドはファイナルデイに残って4名の内、3名がブラジリアンとこの後に控えているブラジル戦を前に早くもストームが吹き荒れていますが、今年のストームの中心人物フィリッペ・トレド(BRA)が今シーズン4度目のファイナル進出を決め、グリフィン・コラピント(USA)と対戦。
ファイナルデイは公式3-5ftレンジ。風の影響が入り、メンズはエアーが勝負の鍵を握る展開に。
SFでイタロ・フェレイラ(BRA)を相手に9.70とパーフェクトに近いスコアを出したフィリッペはファイナルでも序盤に9.57を出して圧倒していましたが、グリフィンも9.00を出して勝負を振り出しに戻します。バックアップスコアを伸ばす勝負は一時タイスコアとなり、シングルスコアが上回るフィリッペが終了間際までリード。ラスト3分で8.00を出したグリフィンが逆転に成功してキャリア2度目の優勝を決めていました。
PHOTO: © WSL/Thiago Diz
「クレージーだね。同点に追いつかれた時は本当に参ったよ。このままでは終われない、何とかしなければと思ったさ。逆転は夢のようで本当に嬉しかったね。フィリペとは何度か対戦している、G-Landでは彼に負けていたから、ここでリベンジを果たせたのは嬉しい。彼は本当に凄いし、あの9.57はフィリッペらしいと思った。今回のファイナルはポルトガルよりも良い感じなので、勝利の余韻に浸っているところさ」
ポルトガルでのCT第3戦『MEO Pro Portugal』でカリフォルニア出身の選手として2009年のボビー・マルティネス以来のCT優勝を決めたグリフィン。
早くも2勝目を重ね、ランキングでも一気に3位に浮上しています。
PHOTO: © WSL/Thiago Diz
最後は逆転されて優勝は逃したとはいえ、カレントリーダーの座を維持したフィリッペ。
イエロージャージ着用で次は母国ブラジルでのイベントに挑むことになります。
2015年に初優勝、2018年、2019年に優勝とブラジル戦にめっぽう強い彼が優勝候補の筆頭であることは間違いありません。
「ここでの全てのサポートと愛に感謝している。最高の気分だよ。今のポジションにいることに謙虚な気持ちなんだ。この1年はとても楽しい。ブラジルに戻って充電するのもいい気分だね。そして、また勝てるように頑張りたい。やるべきことは沢山あるけれど、今のところ順調さ。この舞台にいることを幸せに思うし、家族にも感謝している。支えてくれているチームのみんなにも感謝しているよ」
後半戦に復活したガブリエル・メディナ(BRA)はG-Landに続き今回も3位。
驚異的な成績だとはいえ、ここからトップ5に入るのは難しいのかも...。
今年の流れはフィリッペとロボことジャック・ロビンソン(AUS)の二人にあり、ブラジル、J-Bay、タヒチで新しい風が吹かなければこの二人がタイトルを争うのでは?と予想されます。
なお、SFに残ったイタロ・フェレイラ(BRA)が4位に浮上、五十嵐カノア(JPN)は1ランク下げながらもトップ5を維持しています。
PHOTO: © WSL/Thiago Diz
次の第8戦『Oi Rio Pro』は6月23日〜30日にブラジル・リオデジャネイロのサクアレマで開催されます。
CT第7戦『Surf City El Salvador Pro』結果
1位 グリフィン・コラピント(USA)
2位 フィリッペ・トレド(BRA)
3位 ガブリエル・メディナ(BRA)、イタロ・フェレイラ(BRA)
5位 ジャック・ロビンソン(AUS)、五十嵐カノア(JPN)、カラム・ロブソン(AUS)、イーサン・ユーイング(AUS)
ウィメンズ
1位 ステファニー・ギルモア(AUS)
2位 レイキー・ピーターソン(USA)
3位 ジョアン・ディファイ(FRA)、キャロライン・マークス(USA)
5位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)、コートニー・コンローグ(USA)、カリッサ・ムーア(HAW)、イザベラ・ニコルス(AUS)
『Surf City El Salvador Pro』終了後のランキング
1位 フィリッペ・トレド(BRA) 40,040pt
2位 ジャック・ロビンソン(AUS) 39,905pt
3位 グリフィン・コラピント(USA) 32,150pt
4位 イタロ・フェレイラ(BRA) 28,300pt
5位 五十嵐カノア(JPN) 28,110pt
ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 36,840pt
2位 ジョアン・ディファイ(FRA) 35,065pt
3位 ステファニー・ギルモア(AUS)
3位 ブリッサ・ヘネシー(CRI) 32,930pt
5位 レイキー・ピーターソン(USA) 31,650pt
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
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