コンテスト
ケリーが炎上覚悟のインターフェアについて告白
48歳、来年の2月で49歳になるサーフィン界のキング、ケリー・スレーター。
多くの人は生まれてからもうすぐ半世紀を迎えるこの年になると膝を軋ませ、膨らんだお腹を見下ろしながら生活し、何十年にも渡るデスクワークで腰痛を抱え、サーフィンをしても体が重い...。
太陽の下で猫のようにのびのびと動き回っていたあの頃が遠き日の埃っぽい思い出になっていることだろう。
しかし、ケリーは引き締まった体に膝も丈夫でまるで潤滑剤を塗ったように、なめらかな動きをする。
何より地球上で最高の波の上、最高のサーファー達とまだ対等に争っているのだ。
終了したばかりのハワイの開幕戦でも20代のジョン・ジョン、イタロ、ガブリエルに混ざっているだけではなく、彼らが闘志を燃やすようなサーフィンをしていた。
さて、ここからが本題。
あのハワイの開幕戦で’炎上’する可能性があるケリーとジョン・ジョンの場面を見ただろうか?
SFの最後、ジョン・ジョンが優先権を持っていたのに、ケリーは’肩をすくめて’バックドアに突っ走ったのだ。
ケリーはインターフェアを犯したものの、バレルを抜けて嬉しそうにしていた。
ケリーがあの波に乗ることを決心した時、彼は何を考えていたのだろうか?
それは旧友同士のちょっとした楽しみだったようだ...。
「ジョンとは友人なんだ。あのヒートで彼が最後の優先権を持った時、’もうヒートは終わったね'と言ったのさ。だから、次の波では二人で波に乗るつもりだったのさ。もう残り30秒だったし、他に選択肢はなかった。優先権を持って最後まで待つべきだったけど、もう堪えきれなかったよ」
30年間もCTで戦い、パイプマスターズで7度も優勝しているケリーにとってあのヒートは他の選手と違う考え方でサーフィンをしていたようだ。
以前に自身のInstagramで「みんなは楽しんで競争するなんて出来っこないと思っているけど、そんなことは絶対ないさ。俺とジョン・ジョン・フローレンスは楽しむことが好きなんだよ」 と吐き捨てるようにつぶやいたことがある。
この炎上覚悟のインターフェアについてインターネットのコメントなどから判断すると多くの人が’肩をすくめて’いたようだが、もし、ガブリエルが全く同じ状況でインターフェアを犯したらどうだっただろう?
ライブ中継オンリーで不特定多数の視聴者という状況で確かなことを知るのは不可能だが、もしケリーではなく、ガブリエルだったらコロナ禍で荒んだ世の中のインターネットの住民達がまるで攻撃するようにキーボードを叩き、炎上していたことは想像できる。
ジョン・ジョンとガブリエルの関係ではリアル過ぎる。
リアル過ぎると人は怒るものだ。
あのケリーだからこそ、許される年齢、キャリア、ジョン・ジョンとの関係なのだ。
「競技者がその瞬間にやっていることの喜びを感じることができれば、人々が賛否両論になるような事態にはならない。恐らく、人々はそれが競技者の好きなことであり、表現することが何よりも重要だと気付いているのだろう。あの時のジョンは良い流れの中にいたようだし、自分にはどうしようもなかった。彼が幸せになるために自分のやりかたを見つけたんだ」
今回のこの炎上覚悟のインターフェアはケリーの競争心の内側を物語っていた。
48歳で11度のワールドタイトルを手に入れたケリー・スレーターだからこその行為。
例え、パイプマスターズであっても、彼の根本には友人と一緒のサーフィンを愛し、波をシェアしたいと思っているだけの元気な子供心が残っているのだろう。
参考記事:Kelly Slater Burned John John Florence At The Pipe Masters: He Told Us Why
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