コンテスト
コロナ後初のWSLイベント『Rumble at the Ranch』を制したのは?
未だ先が見えない新型コロナウイルスの感染抑制。
他プロスポーツ界同様にサーフィンコンテストも大きな影響を受け、2020年シーズンはCT、QS共に中止に...。
そんな中、2020年11月(メンズは12月)から開幕が予定されている2021年シーズンのプレイベント、国を跨がない形の「WSLカウントダウン」の初戦『Michelob ULTRA Pure Gold Rumble at the Ranch』がカリフォルニアにあるケリー・スレーターのウェーブプール「サーフランチ」で現地時間8月9日に開催されました。
出場選手&ペア
出場戦はカリフォルニア、ハワイ在住のCT選手を中心とした16名。
男女ベアを組み、8チームでのトーナメント戦でQFからスタート、SF、ファイナルへ。
ペアは以下の通り。
ココ・ホー&フィリペ・トレド
アリッサ・スペンサー&コロヘ・アンディーノ
カリッサ・ムーア&セス・モニーツ
セージ・エリクソン&ケリー・スレーター
キラ・ピンカートン&コナー・コフィン
キャロリン・マークス&エイドリアーノ・デ・ソウザ
レイキーピーターソン&グリフィン・コラピント
タティアナ・ウェストン・ウェブ&五十嵐カノア
フォーマット
各チームはライト、レフトの波を2本ずつ、合計4本の波に乗り、男女それぞれのベストスコアの合計で勝負。
基本的に一人両サイド1本ずつ乗る流れですが、ペアの片方がロースコアの場合、1本譲ることが可能。
一人の選手が4本中最大3本の波に乗ることが出来るリベートルールが採用されていました。
ジャッジはリモートで観戦しながらスコアをつけ、ベストスコアを出したチームが次のラウンドに進む仕組み。
WSLは今回のイベントで公衆衛生関係者、医療専門家、地元や州の関係者と幅広く協力して選手、スタッフ、周辺地域の健康と安全を確保するために徹底した計画を作成。
また、疾病管理予防センター、世界保健機関(WHO)、他スポーツリーグや放送のみのライブスポーツイベントのガイドラインに基づいて開発された健康と安全の手順に厳密に従い、実行。
選手やスタッフの検査、マスク着用、ソーシャルディスタンス、体温チェック、現場での最小限の人員配置など最大の配慮でイベントは進行していました。
ココ&フィリッペペアが優勝
PHOTO: © WSL/Morris
16名の選手に加え、MCのジョー・ターペル、ロージー・ホッジや、ピーター・メル、ストライダー・ヴァシレフスキなどWSLを支えるホスト役も元気に勢揃いしてイベントを盛り上げていました。
ファイナルはココ・ホー&フィリペ・トレド vs タティアナ・ウェストン・ウェブ&五十嵐カノア。
SFではカノアがライトの波でディープなバレル、フィニッシュのリスキーなエアリアルもメイクして9.00のイベント2番目のスコアを出し強敵のキャロリン・マークス&エイドリアーノ・デ・ソウザを僅差で抑えてファイナルに進んでいましたが、ファイナルではサーフランチのCTで2年連続2位のフィリッペが爆発。ライトの波でマニューバーの一部としてアーリーウープを止まらずに入れ、フィニッシュにもアーリーウープを完璧にメイク。
9.67のハイエストスコアを出してココの6.57を合わせ、トータル16.24で優勝を決めていました。
「最後のチャンス、最後の波でやり遂げたよ。ココには感謝しなければいけない。彼女は素晴らしかった!」とフィリッペは優勝後のインタビューに答えていました。
優勝したココ&フィリッペペアは賞金の10,000USドルをサーフライダーファウンデーションに寄付しました。
PHOTO: © WSL
本来の開幕戦から約4ヶ月も空いてしまった今回のイベントでは、コンテスト復帰の緊張感があり、フィリッペはQFの1本目のライトの波でまさかのワイプアウトをする場面も...。
しかし、レフトの波で7.67を出してリカバリーに成功。
このラウンドではココもレフトがベストスコアとなり、パワフルなバックハンドで6.40をスコア。
14.07 vs 11.34のトータルスコアでアリッサ・スペンサー&コロヘ・アンディーノのペアを下していました。
なお、先日亡くなったばかりのココの叔父で1993年のワールドチャンピオン、’キングオブパイプライン’と呼ばれているデレク・ホーに敬意を表して無人のレフトの波を捧げ、デレクのアロハスピリットを受け継ぐように一本の波を数人の選手でシェアライド。
まるでバックドアのようなバレルに包まれたココは初めて波に乗りながら涙を流したそうです...。
カノアとケリー
PHOTO: © WSL
サーフランチは開発当初からの’ローカル’でもあるカノア。
噂のEPSにカーボンファイバークロスを組み合わせ、EPS以上の強度と軽さ、そして高性能を実現させた黒いサーフボード「Dark Arts Surfboard」と普段のレッドカラーのボードを乗りこなしてファイナルまで勝ち上がる活躍を見せていました。
ちなみにSFの9.00は黒いサーフボードの方でメイク。ターンにバレル、エアリアルと全てが揃った素晴らしいライディングでした。
「私達はプレッシャーの中でベストなパフォーマンスを発揮出来るんだ。だから、競技から離れたこの数ヶ月で一番欠けていたのはその部分さ。間違いなく、この数時間で要領を得たよ。このイベントは素晴らしいフォーマットだし、タティアナはとても良いサーフィンをしていたね」とカノアはコメントを残しています。
PHOTO: © WSL
サーフランチのオーナーでもあるケリーはコロナ渦にオーストラリアでの目撃情報が相次ぎましたが、7月にはカリフォルニアに戻ってローワーズやBSRサーフリゾートでの映像が話題になっていました。
今イベントではセージ・エリクソンとペアを組み、QFの1本目では8.23の脅威的なライディングを披露。
しかし、SFでは失速してしまい、ココ&フィリッペペアにあっけなく敗退していました。
ケリーはMC席でのインタビューで「今日は楽しくて最高だね。それほどでもないけど、ちょっとした競争心があるんだ。セージと私は楽しんで練習をしてきたのさ。準備してゲームプランを話していたよ」と話していました。
コロナ渦でも海に入り、いつでもコンテストジャージを着れるようにトレーニングと準備を続けていた選手達。
コロナ後初の今回のイベントは革新的なチームフォーマット、ココ&フィリッペペアを中心とした刺激的なパフォーマンス。
そして、フレンドリーな競技精神が復帰を歓迎した形となっていました。
なお、9月〜10月はオーストラリアのゴールドコーストとマーガレットリバー。
フランスとポルトガルで「WSLカウントダウン」が開催予定です。
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