コンテスト
『Billabong Pipe Masters』 タイトル争いがヒートアップ!
PHOTO:© WSL/Poullenot
現地時間12月17日、前日に再開した『Billabong Pipe Masters』は2日続けてオン。
二つのヒートが同時進行するデュアルフォーマット、別名オーバーラッピングヒートで足早にR2からR3の最終ヒートまで全24ヒートが消化。
予想されていた北西ウネリは期待外れながら、前半は風が弱く、バックドア中心にクリーンなバレルがあり、メインイベントの中ではベストコンディション。
後半は南よりのコナウィンドによってバレルが潰されてしまい、アクション勝負にシフト。
ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ガブリエル・メディナ(BRA・写真最上部)、ジョーディ・スミス(ZAF)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)の4名によるタイトル争いは、R2行きを強いられたガブリエル、ジュリアンが共にワイルドカードと対戦して勝利。
R3ではジュリアンが快勝した一方、ジョン・ジョン、ガブリエルはクロスゲームで辛うじてラウンドアップ。
特にジョン・ジョンは一本目でバックドアのバレルを2本メイクしてスコアを固めたものの、後半、ルーキーのイーサン・ユーイング(AUS)に0.07差まで追い詰められてしまい、本当に際どい勝負。
ジョン・ジョンがR3を勝ち上がった時点でジュリアンはタイトルレースから外れることに...。
PHOTO:© WSL/Cestari
苦戦したジョン・ジョンの直後にパドルアウトしたガブリエルのヒートも見ている方がヒヤヒヤするような危ない戦いでした。
「とても厳しかった。波が悪くて見つけるのも大変だったけど、通過出来てストークしている。明日でコンテストが終わると思うけど、まだタイトルの可能性はある。気分は良いよ。神様は自分側にいると感じている。それを信じ頼りにしてやるしかないさ」
ラインナップでマイクを持って実況を続けていたストライダー・ヴァシレフスキによるとガブリエルが貪欲に波を追い続ける姿はまるで’動物’のように見えたそうです。
パイプラインでのバレル、ロデオフリップ、バックドアでのストレートアップ。終了のホーンまで執拗に攻める姿は2014年にブラジリアンとして初のタイトルを獲得した時よりもハングリーでした。
PHOTO:© WSL/Heff
デュアルフォーマットの場合は通常の5名のジャッジが3名に減らされるため、一人のスコアの傾きが大きな影響を与えます。
それが顕著に現れたのがジョン・ジョンのヒートで、ヒート終了後はブーイングが出たほど。
残念ながらイーサンは1年でツアーを去ることになりますが、まだ19歳の彼にとって本当の戦いはこれから。
再度QSで揉まれ、強い選手となってツアーに帰ってくることでしょう。
この日の最終ヒートはジョーディ・スミス(ZAF)とケリー・スレーター(USA)のカード。
J-Bayでの足の骨折から5ヶ月ぶりに復帰したケリーとタイトルコンテンダーのジョーディの戦いはすでに夕暮れが近く、コナウィンドも少しおさまる傾向。
R1終了後のインタビューで65%の回復と話していたケリーにとってアクション勝負なら不利でしたが、バレルが出現したことと後半にセットが止んだことが追い風となり、ジョーディを倒すことに成功。
ジュリアンに続いてジョーディもアウト。
これでタイトル争いはジョン・ジョン、ガブリエルに絞られることに。
タイトルの最新のシナリオは以下の通り。
もし、ジョン・ジョンがファイナルに進出すればガブリエルの結果に関わらずタイトルが決定。
もし、ジョン・ジョンが3位、5位の場合、ガブリエルは優勝でタイトルを獲得。
もし、ジョン・ジョンが9位以下の場合、ガブリエルはファイナル進出でタイトルを獲得。
PHOTO:© WSL/Cestari
最終戦の『Billabong Pipe Masters』ではタイトル争いの他にも様々なトピックがあり、元JPSAプロの柄沢明美さんの長男、コナー・オレアリー(AUS)のルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得。
カリフォルニア出身の選手では史上初となるトリプルクラウン獲得に近づいたコナー・コフィン。
そして、ビード・ダービッジ、ジョシュ・カーの二人のベテランオージー(写真上)の引退。
ガブリエルとのR3が最終ヒートとなったジョシュ。
同郷のミックとビードに担がれ、インタビューブースへ。
「感動的な瞬間だね。ビーチに戻ると娘が泣いてキスしてくれたよ。それから仲間が担いでくれたんだ。とてもほろ苦い気分さ。本当はこのまま続けたいけど、最も学んだことは’勝利が全てではない’ってこと。素晴らしい家族や友人がいることが最高の勝利だと感じているんだ」
2007年にツアー入りしたジョシュの最高ランキングは2011年、2012年の8位。
CTでの優勝はありませんが、エアリアルの先駆者として活躍して近年はビッグウェーブにもフォーカス。
2015年のBWT(ビッグウェーブツアー)『Todos Santos Challenge』で優勝しています。
来年はWSLの仕事を手伝う他、家族との旅を計画しているそうです。
ちなみに娘のシエラは確実に父親の才能を受け継いでおり、サーフィン、スケートボードはすでに大人顔負けの腕前。
近い将来、コンテストの方で頭角を現す可能性も十分にあるでしょう。
PHOTO:© WSL/Sherman
ビードの最終ヒートはR2の親友ミックとのカード。
追い込まれた後半、終了間際にバックドアでバレルをメイクしますが、ジャッジはスモールウェーブと判断して3.70。
逆転には僅かに届かず...。
2007年のパイプマスター、同年にトリプルクラウンも獲得しているビード。
今回の結果に関わらず、2020年東京オリンピックのオーストラリア代表、エリート・プログラム・マネージャー就任で引退を宣言していたため、13年の長いキャリアの最後は笑顔で締めくくっていました。
「沢山のハイライトがあるよ。ミック、ジョシュ、エース、トム・ウィタカー達と一緒にサーフィンしてきたことが一番かな。家族、友人との旅、全てが良い思い出だよ。コンテストも素晴らしかった。永遠に忘れないよ。これからはHPC(オーストラリアにあるHurleyのトレーニング施設)でオリンピックのオーストラリア代表という良い仕事に転職する。自分にとって本当にエキサイティングで、情熱を注げる仕事なんだ。1月から移動して新たな旅、第二の人生が始まるよ」
パイプラインの他、ブラジル、トラッセルズでの優勝。
2008年、2009年はランキング2位、3位とタイトルに絡んでいたビード。
2015年のパイプラインではヒート中にワイプアウトした際に骨盤2カ所を骨折して病院送りとなり、翌年はリハビリの日々。
ハレイワでの復活は感動的なシーンでした。
美しいスタイルとスマートな身のこなしにファンも多く、ジョシュ同様に引退を惜しむ声が数多く聞かれます。
PHOTO:© WSL/Poullenot
その他にR3を通過したのはイアン・ゴウベイア(BRA)、ジョエル・パーキンソン(AUS)、カイオ・イベリ(BRA)、ジェレミー・フローレス(FRA)、イタロ・フェレイラ(BRA)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、五十嵐・カノア(USA・写真上)
昨年のパイプマスター、ミシェル・ボウレズ(PYF)は敗退。
ネクストコールは現地時間12月18日の早朝7時30分(日本時間の19日午前2時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると北西ウネリ、北東ウネリは弱まる傾向ながら風が弱い予想。
翌日は新しい北〜北北西ウネリが入るものの、北風が吹いてしまう見込み。
『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト
WSL公式サイト
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