CT第8戦『Hurley Pro at Trestles』 ブラジリアンストームが吹き荒れた! | サーフィンニュース BCM | コンテスト

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CT第8戦『Hurley Pro at Trestles』 ブラジリアンストームが吹き荒れた!


PHOTO: © WSL/Rowland

すでに終了した7戦の全てのイベントで違う選手が優勝という異例のシーズンになっている今年のワールドツアー。
カリフォルニア、ヨーロッパレッグの2戦、最終戦のハワイと残り4戦、タイトル争いの行方もそろそろ見え始めてきました。

北米では唯一のCTイベントとなる第8戦『Hurley Pro at Trestles』並びにウィメンズの第7戦『Swatch Women’s Pro』がカリフォルニアのローワー・トラッセルズで開催。
ウェイティングピリオド後半に断続的に入った南よりのウネリを使用して足早に進行して現地時間9月15日に終了。
イベント前の予報通り、波に恵まれなかった今年。玉石の上で割れるマシーンブレイクは健在でしたが、波数が少なく、毎日のようにリスタートされるヒートがあったほど...。

2015年に続き、2度目のワイルドカードを獲得した大原洋人はR2でランキング4位のオーウェン・ライト(AUS)を倒してR3進出。
フロントサイドでのバリエーション豊かなターンで日本のファンを熱狂させていましたが、次のR3ではジョン・ジョン・フローレンス(HAW)の猛烈な勢いに圧倒され、ここで2度目のCTのチャレンジは終了。
現在QS13位。
CT入りが現実味を帯びてきたこの状況でのトップ34との対戦は大きな収穫になったと思います。
次の洋人の戦いは9月26日〜10月5日にポルトガルで開催されるQS10,000『EDP Billabong Pro Cascais 2017』です。



PHOTO: © WSL/Rowland

イベントの方はメンズ、ウィメンズ共にブラジリアン、フィリッペ・トレド(写真最上部・上)&シルヴァナ・リマが優勝。
フィリッペはJ-Bayに続く2勝目。シルヴァナは2010年のペルー戦以来、7年ぶりのCT優勝に!

「やっと終わった。本当に特別な瞬間さ。このイベントはいつもセミファイナル止まり、それも昨年はジョーディにやられたんだ。最高の気分だね。ここにいる全ての友人、波を届けてくれた神に感謝したい。このイベントは本当にエンターテイメント性が高い。家族と友人の目の前で優勝出来て興奮しているよ」

第7戦のタヒチで初のカレントリーダー、イエロージャージを手に入れたジョーディ・スミス(ZAF)とのファイナルは、序盤から’キープビジー’に攻めたフィリッペが次々とスコアを重ねて主導権を握ります。
じっくりと波を待ったジョーディは後半に9.00をスコアしますが、ニード6.67のシチュエーションでセットが止んでしまい、万事休す。
通常のイベントであればプライオリティを持ってハイスコアに結び付く波を待つ戦略は有効ですが、今回のように波数が少ない場合はそれが裏目に出てしまう結果に...。


PHOTO: © WSL/Morris

「ワールドタイトルは間違いなく自分の目標であり、今年2つのイベントで勝った唯一の選手であることは本当に素晴らしいと感じている。ワールドタイトル獲得に向けての激しい戦い。最後のイベントで決まるのがベストだと思うし、自分もその勝負に加わりたい。自分にとって家族の支えが重要なんだ。特に今は新しく生まれる子供の存在が大きいね。皆と一緒にここにいることは最高。この優勝も皆のものだよ」

これで今シーズン唯一の2勝を決めた選手となったフィリッペですが、すでに最下位が2回にR3敗退の13位が1回。
更にフィジー戦は出場停止のためにランキングは7位とタイトルには難しいポジションにいます。
フィジー戦の出場停止は自分によるルール違反(ジャッジに対する抗議未遂)が原因だけに痛い一戦でしたが、それが彼の勝負に対するパッションでもあるのでしょう。

優勝後は友人、妻、父(写真上)、母などとハグを交わした後、一足先に優勝を決めていたシルヴァナと喜びを分かち合っていました。
海以外では常に一緒にいる愛娘にも優勝を真っ先に報告。
ちなみにフィリッペのインタビューによると現在の愛娘に加えて、もう一人の命を授かったそうです。

二人のブラジリアンの優勝で、会場はお祭り騒ぎ、大合唱、インタビューが聞こえないほどの盛り上がり。
ブラジリアンストームが吹き荒れてイベントは閉幕していました。


PHOTO: © WSL/Morris

ディフェンディングチャンピオンのジョーディ(ZAF・写真上)は今年も安定したライディングで危なげなく勝ち上がっていましたが、最後は自然を味方につけられず、2年連続の優勝を逃すことに...。

「もっと波に乗れるヒートだったら良かったけど、残念ながら今日は自分の日では無かったみたいだね。それにフィリッペのサーフィンは凄かった。戦略を立ててそれを完璧に成し遂げたとしても、自然に左右されるサーフィンではコントロール出来ない部分があるのさ。35分のファイナル。自分に2本目のチャンスは訪れなかった。もう、次にやるべきことに集中して行動しようと思う。今度は大好きなヨーロッパの番だね。あそこはいるだけでも楽しい場所だよ」

優勝はベルズでの1回ながら最もコンスタントな結果を残し、今回の2位でカレントリーダーの座をキープ。
SFで敗退したジョン・ジョンとの差を広げ、10月7日から開幕するフランス戦に挑みます。
タイトル争いでは マット・ウィルキンソン(AUS)、オーウェン・ライト(AUS)が1つランキングを落とした一方、ジュリアン・ウィルソン(AUS)が3位に浮上。
しかし、ポイント差から考えるとジョーディ、ジョン・ジョンの二人にタイトル争いは絞られてきたと言えそうです。


PHOTO: © WSL/Sherman

今シーズン2度目のCT返り咲きを果たしたシルヴァナ。

シーズン前半は結果が出せずに最下位が続きましたが、シーズン中盤にサーフボードをフィリッペ・トレドと同じサンクレメンテの『Sharp Eye Surfboards』に変え、メキシコのQSで優勝。更にスペインで3位に入り、QSではランキングトップ。リクオリファイを固めてプレッシャーから解放された後のこの一戦ではツアーで最も小柄な154センチの身長を感じさせないパワフルなターンとエアーリバースで他の選手を圧倒。

R1、R3を1位通過でストレートでQF進出。
QFでは過去にタイトル争いをしたこともある古くからのライバル、ステファニー・ギルモア(AUS)、SFではレイキー・ピーターソン(USA)を倒してファイナル進出。
ツアー2年目にして初ファイナルとなったキーリー・アンドリュー(AUS)との最後のヒートもリズムを崩すことなく、まさにメンズ顔負けのサーフィンでCTでは久々の表彰台に上がることに成功しました。

「まだ優勝した実感がわかないわ。最後のイベントが終わった時、ローワーズのことしか頭になかった。自分の思い通りのサーフィンが出来るこの波はツアーで最も好きなのよ。好きなようにターンをして突き進んだわ。ファイナルに近づくにつれて昔ファイナルに残ったベルズのことを思い出し、成し遂げたかった。ファイナルのラスト5分、キーリーをコンビネーションに追い込んで優勝が現実になった時は信じられない気持ちだったわ」


PHOTO: © WSL/Morris

ツアーでは最年長の32歳。
2度もCTから脱落してスポンサーさえ失った経験があるドン底の状態から這い上がって勝ち取った今回の優勝。
メンズでは約三分の一を占めるブラジリアンですが、ウィメンズではシルヴァナ一人。
QSでも100位以内に一人もいないということはブラジルでのウィメンズサーフィン、特にコンペティションの世界には様々な障害があることが想像出来ます。
クリーンなイメージが多いウィメンズのトップ17の中、全身を覆ったタトゥーが彼女の生き様なのでしょう。

「大きな自信を持ってここに来た。そして、もしローワーズで優勝が出来たら新しいタトゥーを入れようと思いついたの。この場所の象徴でもある’電車’のデザインね。私は神を信じていた。神は信じるものを見ているのよ。待った甲斐があって、やっと私の番が巡ってきた。QSでランキングのトップに立ったことは大きな自信になり、リラックスしてCTを戦う助けになったことは間違いない。楽しいことを全てやり、頑張ったわ」

タイトル争いではR4で敗退したタイラー・ライト(AUS)がトップから一気に3位にランクダウン。
サリー・フィッツギボンズ(AUS)がカレントリーダーの座を手に入れ、コートニー・コンローグ(USA)は2位。
3位までのポイント差は依然僅かで、サリー、コートニー、タイラーの3人がウィメンズのワールドタイトルを争うことになりそうです。

次のワールドツアーは9月27日〜10月5日にポルトガルで開催されるウィメンズ第8戦『Cascais Women’s Pro』
メンズは10月7日〜18日にフランスで開催される第9戦『Quiksilver Pro France』

なお、ケリー・スレーターのウェーブプール「サーフランチ」で噂されているCT選手によるスペシャルイベントは9月18日の予定。
正式に発表され次第、お知らせします。


PHOTO: © WSL/Sherman

『Hurley Pro at Trestles』結果
1位 フィリッペ・トレド(BRA)
2位 ジョーディ・スミス(ZAF)
3位 エイドリアン・バッカン(AUS)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
5位 エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)、フレデリコ・モライス(PRT)、ジェレミー・フローレス(FRA)、五十嵐カノア(USA)

『Swatch Women’s Pro』結果
1位 シルヴァナ・リマ(BRA)
2位 キーリー・アンドリュー(AUS)
3位 レイキー・ピーターソン(USA)、コートニー・コンローグ(USA)
5位 ステファニー・ギルモア(AUS)、カリッサ・ムーア(HAW)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、セージ・エリクソン(USA)

2017 Men’s Championship Tour
『Hurley Pro at Trestles』終了後のランキング
1位 ジョーディ・スミス(ZAF) 45,850pt
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 43,400pt
3位 ジュリアン・ウィルソン(AUS) 37,200pt
4位 マット・ウィルキンソン(AUS) 36,450pt
5位 オーウェン・ライト(AUS) 35,850pt

2017 Women’s Championship Tour
『Swatch Women’s Pro』終了後のランキング
1位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 45,100pt
2位 コートニー・コンローグ(USA) 44,800pt
3位 タイラー・ライト(AUS) 44,700pt
4位 ステファニー・ギルモア(AUS) 39,950pt
5位 セージ・エリクソン(USA) 37,150pt

WSL公式サイト

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