コンテスト
『Vans US Open of Surfing』 五十嵐カノアが優勝!
PHOTO: © WSL/Morris
サーフィン、スケートボード、BMX。一週間に渡ってカリフォルニアのカルチャーを思う存分に楽しめる華やかな夏のビッグイベント『Vans US Open of Surfing』
サーフィンコンテストではCTよりもギャラリーが多く集まり、このタイトルを獲得することはコンペティターとしての誇り。
トム・カレン、オッキー、バートン・リンチ、サニー・ガルシア、アンディ・アイアンズ、ロブ・マチャド、ケリー・スレーターなどサーフィン界を代表するビッグスター達も名誉を手に入れたことがある歴史ある戦いが今年も開催され、現地時間8月6日に終了。
イベント前半に入ったトロピカルストームからの南よりのウネリはすっかり衰えてしまい、ファイナルデイは夏のアベレージのハンティントンビーチ。風の影響が入り、波数も少なく、限られたチャンスを活かした選手が勝ち上がる展開でした。
ビーチを埋め尽くした熱狂的なギャラリーが見守る中、QS10,000では五十嵐カノア(USA)、ウィメンズCT第6戦ではセージ・エリクソン(USA)が共に初の『Vans US Open of Surfing』のタイトルを獲得!
2010年のブレット・シンプソン以来、久々にカリフォルニアのサーファーが頂点に立ったこともあり、会場は興奮の渦に!
「最高だね。ここでは2回もSFで敗れ、ようやく勝つことが出来た。今年は自分の年になるんじゃないかなと感じていた。最初は周囲が言っていたんだけど、段々自分でも信じるようになり、現実になったんだ。この場所は自分にとって世界を意味する。サーフィンを覚え、家族と友人がいる特別な場所さ。最初にプロのサーフィンを見たこのコンテストにも大きな意味がある。ビーチに座ってカラニ・ロブとかの戦いを興奮しながら観戦していたよ。彼らのような凄いサーファーに混じり、大勢の観客の前で’US Open’に勝つことを願っていた。決して忘れられない一日になるだろうね」
PHOTO: © WSL/Morris
日本人の両親を持つカノアですが、生まれも育ちもここカリフォルニア・ハンティントンビーチ。
ローカルナレッジを活かしてここ数年では最もコンスタントにヒートを勝てる選手であり、2015年、2016年と2年連続でSF進出。
2015年は大原洋人、2016年はフィリッペ・トレド(BRA)に敗れ、悔しい思いをしていましたが、今年はQFで前日に大原洋人を抑えたリカルド・クリスティ(NZL)、更にSFではインターフェア(写真上)を犯したフィリッペを倒してファイナル進出。
トーマス・ヘルメス(BRA)とのファイナルではレフトからライトにリフォームしてくる波で9.63。これはイベントを通してのハイエストスコアであり、トータルでも17.23とハイエストを揃え、完璧な勝利を収めました。
優勝後は友人や兄のためにキャップとサングラスを持って海に飛び込んだ弟のキアヌとハグを交わし、周囲の祝福に応えるようにカリフォルニア州の旗を振り回してビーチ凱旋。
いつもはクールなカノアが別人のように興奮。高揚感が伝わってくるはしゃぎぶりでした。
なお、2015年には大原洋人が表彰台で賞金の100,000USドル(日本円にして約1,240万円)の使い道は?と質問され、「免許をとって車でも買いたいね」と高笑いしたことが大きな話題になっていましたが、カノアは「自分はすでに良い車を持っているよ(笑)」とスピーチ。
今回の結果により、QSランキングでは一気に66位も上がって3位。
CTでは29位と厳しい戦いを強いられていますが、QSからのリクオリファイの可能性が高くなってきました。
今回9位になった大原洋人は10位から8位にランキングを上げています。
PHOTO: © WSL/Morris
ウィメンズCT第6戦では、番狂わせが続出した今イベント。
カレントリーダーのタイラー・ライト(AUS)、2位のサリー・フィッツギボンズ(AUS)が共にQF、3位のステファニー・ギルモア(AUS)がR2でワイルドカードにまさかの敗退。
4位のコートニー・コンローグ(USA)にチャンスが巡ってきましたが、SFでセージに敗れてしまい、ランキングはステファニーとの入れ替わりに留まっています。
今回優勝したセージは9位から6位にランキングを上げ、初のトップ5入りに迫ってきました。
「今までの努力がこの瞬間で報われた気がする。このイベントは何か特別なものを感じたの。優勝は目標だったし、本当に調子は良かったけど、この場所に立つことが出来るなんて信じられないわ。ワールドチャンピオンではなく、’US Open’だけど、私にとっては世界一になった気分で祝いたい。アメリカ代表なんて偉そうに誇ることは私にはできない。ビーチで応援してくれた全ての人からエネルギーを感じたわ。CTでの初優勝がカリフォルニア、それもハンティントンみたいな場所だなんて非現実的よ」
ファイナルではディフェンディングチャンピオンのタティアナ・ウェストン・ウェブ(HAW)に土壇場まで抑えられ、ラスト3分を切ってから見事な逆転劇を演じたセージ。
ホームでの優勝は本当に嬉しそうでした。
ウィメンズCTの次のイベントは9月にメンズと併催されるローワー・トラッセルズでの『Swatch Trestles Women’s Pro』
その前にメンズのCT第7戦『Billabong Pro Tahiti』が8月11日〜22日にタヒチで開催されます。
PHOTO: © WSL/Morris
『Vans US Open of Surfing』結果
QS10,000
1位 五十嵐カノア(USA)
2位 トーマス・ヘルメス(BRA)
3位 フィリッペ・トレド(BRA)、カルロス・ムニョス(CRI)
5位 リカルド・クリスティ(NZL)、ジョシュ・カー(AUS)、マイケル・フェブラリー(ZAF)、パトリック・グダスカス(USA)
ウィメンズCT第6戦
1位 セージ・エリクソン(USA)
2位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(HAW)
3位 ココ・ホー(HAW)、コートニー・コンローグ(USA)
5位 ジョアン・ディファイ(FRA)、タイラー・ライト(AUS)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、ポーリン・アドゥ(FRA)
2017 Women’s Championship Tour
『Vans US Open of Surfing』終了後のランキング
1位 タイラー・ライト(AUS) 41,400pt
2位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 39,900pt
3位 コートニー・コンローグ(USA) 38,300pt
4位 ステファニー・ギルモア(AUS) 34,750pt
『Vans US Open of Surfing』公式サイト
WSL公式サイト
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