コンテスト
QS6,000『Ichinomiya Chiba Open』終了!
PHOTO: © WSL/Steve Robertson
今年で2年目となるQSで2番目にグレードが高い6,000『Ichinomiya Chiba Open』が千葉の釣ヶ崎海岸、通称「志田下」で開催され、5月28日にファイナルデイを迎えました。
今イベントには2020年東京オリンピックの会場視察も兼ねて2015年のワールドチャンピオン、先日終了したばかりのCT第4戦『Oi Rio Pro』で優勝して現在ランキング2位のエイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)がナンバー1シードとして参加、更にイーサン・ユーイング(AUS)、五十嵐カノア(USA)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、フレデリコ・モライス(PRT)と5名の現役CT選手が来日した他、初開催となった昨年と比べて豪華な選手が揃い、イベントを盛り上げていました。
対する日本人選手の方はQSランキング4位とクオリファイ圏内にいる大原洋人、児玉椋がワイルドカードを得てトップシード。
その他、昨年活躍した仲村拓久未、稲葉玲王。西修司、田中英義、村上舜、西優司、加藤嵐、佐藤魁、新井洋人、大野修聖、脇田泰地、森友二、大橋海人。トライアルを勝ち上がった辻裕次郎、都筑百斗。合計17名が参加。
特に注目されていた大原洋人は快進撃を続けてR5進出。最後はコア・スミス(HAW)に逆転されて敗退したものの、9位で1,550ポイントを得てQSランキングでは2位に浮上。
日本人最高位の5位となった新井洋人は2,650ポイントを加算して76位から一気に21位。
R4まで進んだ村上舜は78位から57位までランキングを上げています。
イベント期間中は平均コシ〜ムネ。前半のラウンドはオンショアにも悩まされてしまい、厳しいコンディション。
風が改善して少しサイズも上がり、ベストとなったファイナルデイ前日でも基本的には難しい波で、現役CT選手、元CT選手が次々と姿を消した一方、ブラジリアンの強さが際立っていました。
ファイナルデイはサイズダウンに加え、徐々に風が入り、僅かなミスが致命傷になるような展開。
そんな中、イベントを通してプライオリティの使い方が最も優れていたQSのカレントリーダー、ジェシー・メンデス(BRA)が最後までリズムを崩さず、ファイナルでクーパー・チャップマン(AUS)を抑えて今シーズン2度目の6,000での優勝を決めました。
PHOTO: © WSL/Steve Robertson
「神様に感謝したい。自分に勝つ可能性を与えてくれたんだ。波のピークが一つの時はプライオリティを持っている方が良いけど、今回のようなピークが沢山ある時はプライオリティを持っていない方が波を探せるので良いこともある。これからも同じことをやり続けるだけさ。朝から夕方まで続いたイベント中、集中力を維持することは凄い大変だったけど、とにかく自分をリラックスさせるようにいつも心掛けていたんだ」
彼の強さはサーフィンの上手さはもちろん、プライオリティの使い方。
プライオリティを持っていない時は相手と離れて波に乗り、プライオリティを持っている時はゆっくりと相手に近づき、インサイドでマークする。簡単なようで実践出来ない選手が多い中、その試合運びの上手さ、冷静さ、無駄がない動きは全てのコンペティターの教科書だったと言えるでしょう。
特に今回の志田下のような波では、ライディングの技術だけで勝つのは難しく、ヒートでの一つ一つの動作にMCの脇田貴之も絶賛していました。
PHOTO: © WSL/Steve Robertson
オーストラリアレッグではニューキャッスルの6,0000『Maitland and Port Stephens Toyota Pro』でファイナル進出(優勝はヤゴ・ドラ)、マンリーの6,000『Australian Open of Surfing』で優勝。
今回の『Ichinomiya Chiba Open』を合わせると3戦連続でファイナル進出、それも2度の優勝と現時点では2位の大原洋人の約2倍のポイントを稼いでトップの座を固めたジェシー。
しかし、彼のコメントにもある通り、まだクオリファイは確実ではなく、7月に控えている南アフリカとカリフォルニア。シーズン後半に控えているポルトガル、トリプルクラウンの2戦と合計5戦のQS10,000での結果が重要。
逆に考えればクオリファイ圏内の10位以下の選手にもまだ十分なチャンスが残されていると言えます。
「3戦連続でファイナルに進み、2度の優勝。これは凄い結果だけど、まだ安心はしていないよ。集中力を高め、もっと良い結果を残したい。以前に同じような状況でクオリファイ出来なかったことがあるから、今度はチャンスを逃したくないのさ。自分にとって重要なイベントがまだ沢山あるんだ」
人格者でもある彼は周囲からも愛され、最後はライバルでありチームメイトでもあるトーマス・ヘルメスなどに担がれ、ビーチ凱旋。
優勝後のインタビューは、ここまでの緊張感が解き放たれ、心の底からの笑顔が見れたと今イベントの立役者となったインタビュアーの堀内尚子が話していました。
表彰台では志田下の象徴でもある「鳥居」をモチーフにしたトロフィーを授与されたジェシー。
この後は良いウネリが予想されているインドネシアのメンタワイに向かうそうです。
同時開催のウィメンズは昨年の1,000から3,000にグレードが上がったため、海外からのエントリーもあり、昨年の鴨川の3,000で優勝したディミティ・ストイル(AUS)、メイシー・キャラハン(AUS)、マヒナ・マエダ(HAW)、イザベラ・ニコルズ(AUS)、フィリッパ・アンダーソン(AUS)などQS上位の選手が多く来日。
日本人選手はディフェンディングチャンピオンの野呂玲花を筆頭に橋本恋、田代凪沙、松田詩野、北沢麗奈、黒川日菜子、西元萌エミリ、西元梨乃ジュリ、脇田紗良、庵原美穂、川合美乃里、高橋みなと、松永莉奈が参加。
ワイルドカードは13歳の中塩佳那が得てトップシードとしてRound of 32にクレジット。
そんな中、川合美乃里、黒川日菜子がファイナルデイに残り、SFでは黒川日菜子がフィリッパ・アンダーソン(AUS)、川合美乃里がディミティ・ストイル(AUS)を倒し、ウィメンズQS3,000では初となる日本人同士のファイナルが実現。
序盤から「stay busy」で次々と波に乗ってスコアを重ねた黒川日菜子に対して落ち着いて波を待った川合美乃里。
後半に6.27をスコアした後、6.83を重ねて逆転に成功。黒川日菜子はプライオリティの使い方が悪く、バックアップスコアを伸ばすようなクオリティを持つ波以外にも手を出してしまうことに...。
志田下を知り尽くしているコーチの田中樹の元、ファイナルでも冷静な試合運びを続けた川合美乃里(写真上)がQS初優勝を決めました!
「日本で開催された大きなイベントで優勝出来て本当に嬉しいです。プロサーファーとしてベストを尽くし、世界中を旅するのが私の夢。今日の優勝でその夢に近づきました」
昨年、15歳にしてJPSAのグランドチャンピオンを獲得。名実ともに日本のトップに立った川合美乃里。
16歳になった今シーズンは年初に開催されたワールドジュニア『World Junior Championship」で5位。QSのオーストラリアレッグでは17位とふるわなかったものの、インドネシアの『Krui Pro』ではSF進出の3位でフィニッシュ。
そして、今回の3,000での優勝でランキングを118位から23位に上昇させています。
涙を流しながらファイナル直後のインタビューに応えていた川合美乃里。
黒川日菜子(写真下)は四国で一緒にサーフィンしていたお姉さん的存在であり、その彼女とファイナルで戦えたことをとても喜んでいました。
なお、パーフェクト10をマークした選手に贈られるはずだった(株)「INVALANCE」提供の賞金50万円。
イベント期間中にパーフェクト10が出なかったため、急遽、ファイナル終了後に40分のスーパーセッションが開催。
カメラの関係でライブ中継は引きの画しかなかったのが残念でしたが、今イベントで最も人気があった五十嵐カノアがスタイリッシュなエアーをメイクして賞金50万円を獲得。表彰式でもスピーチをしていました。
『Ichinomiya Chiba Open』結果
1位 ジェシー・メンデス(BRA)
2位 クーパー・チャップマン(AUS)
3位 フラヴィオ・ナカジマ(BRA)、オニー・アンワー(IND)
5位 グリフィン・コーラピント(USA)、コア・スミス(HAW)、新井洋人(JPN)、ビューリック・デ・ヴィリス(ZAF)
ウィメンズ
1位 川合美乃里(JPN)
2位 黒川日菜子(JPN)
3位 フィリッパ・アンダーソン(AUS)、ディミティ・ストイル(AUS)
5位 チェルシー・ツアー(BRB)、ペイジ・ハレブ(NZ)、イザベラ・ニコルス(AUS)、コビー・エンライト(AUS)
(天候に恵まれ、多くのギャラリーが集まったファイナルデイ)
(2位のクーパー・チャップマン)
(スタイリッシュなサーフィンを披露していたクーパー)
(十八番のエアーで勝ち上がってきたオニー)
(スーパーセッションで世界基準のエアーを楽しむギャラリー)
『Ichinomiya Chiba Open』公式サイト
WSL公式サイト
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