コンテスト
『Oi Rio Pro』 ブラジリアン・ストーム再び!
PHOTO: © WSL/Smorigo
水質汚染や治安の悪さなどの問題が浮上していたリオデジャネイロ近郊から郊外のサクアレマへの会場移動、ケリー・スレーター(USA)の直前のキャンセルから始まり、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ガブリエル・メディナ(BRA)、ミック・ファニング(AUS)と3人のワールドチャンピオンを倒した新たなジャイアントキラー、ヤゴ・ドラ(BRA)の驚くべき活躍。
フィリッペ・トレド(BRA)の五十嵐カノア(USA)に対しての珍しいインターフェア。そして、その後のフィリッペのペナルティ。
ウィメンズサイドではカリッサ・ムーア(HAW)の7年振りの最下位、カレントリーダーのステファニー・ギルモア(AUS)のQF敗退など多くのトピックスがあった今年のブラジル戦。
現地時間5月17日に迎えたファイナルデイはイベント期間中最大の6-8ftレンジの新しい南よりのウネリが入り、クリーンなグッドコンディション。R5からスタートしてファイナルが行われる頃には風の影響が入ってしまったものの、見応えある戦いとなり、最後は2015年のワールドチャンピオン、エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA・写真最上部・下)の優勝と約1万人は集まったギャラリーが最も望む結末に!
2014年、2015年に旋風を巻き起こしたブラジリアン・ストームが再び吹き荒れた一日でした。
「表彰台は久々だね。ここに上がるためにずっと努力してきたよ。全てのサポートに感謝している。特にブラジルのファンさ。これでゲームに戻れた。あとは任せてくれ!」
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2011年以来、2度目の自国ブラジルでの優勝を決めたエイドリアーノ。
ファイナルデイはレフトの波でバックハンドのパワフルで安定感あるターンでスコアを重ね、QFではジョエル・パーキンソン(AUS)、SFではコーチを務めたヤゴを共に寄せ付けずに圧勝。
エースことエイドリアン・バッカン(AUS)とのファイナルではターン毎に上がる大きな声援をバックに7.83と最後には9.80をスコア。僅か0.40ポイント差ながら、プライオリティを得た終了3分前には勝利を確信したギャラリーの興奮がマックスとなり、ホーンが鳴る前に異例のカウントダウン。
全てが決まった瞬間、天を見上げたエイドリアーノ。その先には信仰する神、そして、彼がワールドタイトルを獲得した2015年に理不尽な死を遂げた親友のリカルド・ドス・サントスがいたのでしょう。
オーストラリアレッグで9位、5位2回の結果を残したエイドリアーノは今回の優勝でジョーディ・スミス(ZAF)、オーウェン・ライト(AUS)と並ぶ2位に浮上。それもカレントリーダーのジョン・ジョンとの差は僅か。
昨年はワールドタイトルを獲得した次の年で集中が出来ず、11位に甘んじていましたが、今年は怖い存在になりそうです。
毎回、表彰台で素晴らしいマイクパフォーマンスを披露するエイドリアーノ。
今回は母国ポルトガル語で全てスピーチをしてそれをビッグウェーブ界のレジェンド、カルロス・ブールが英語に翻訳。
それだけエイドリアーノの頭の中は母国愛で占めていたのでしょう。
PHOTO: © WSL/Poullenot
今イベントでブラジリアンの次に強さを見せていたオージーの中でもダークホース的存在だったエース(写真上)
ツアー12年目のベテランはフロントサイドとなるレフトの波で美しい弧を描くマニューバーを披露。QFでジョーディ、SFでウィルコを抑えて2013年のタヒチ戦以来の表彰台。
開幕戦で最下位、13位が2回続いたオーストラリアレッグの穴を埋め、一気に12位にランクアップしました。
「サクアレマは本当に楽しかった。ブラジルに素晴らしい波とサーファーがいることを世界中に示した10日間だったと思う。ブラジリアンのビーチカルチャーは他に勝るし、来年再び戻ってくることを楽しみにしているよ。エイドリアーノとのファイナルは本当に特別だった。彼は若いブラジリアンのための素晴らしいモデルの役割を果たしている。心から彼の優勝を祝いたい」
PHOTO: © WSL/Poullenot
今年のブラジル戦の立役者となったヤゴ(写真上)、ニックネーム「Skinny Goat」
昨年から本格的に世界のQSを回り、2年目にしてオーストラリア・ニューキャッスルのQS6,000で優勝。
フリーサーフィンの世界からコンテストの世界に舞台を変え、早くも頭角を現してQSランキング3位。
更にCTのトライアルでワイルドカードを得て3人のワールドチャンピオンを倒す活躍。
この数ヶ月、いや、この数週間、数日間で彼の人生は大きく変わったことでしょう。
「来年はツアー入りを果たしたい。このイベントで沢山のことを学び、自信を得ることが出来た。これから行う全てのヒートの準備も万全だよ。今日は自分にとってアイドルのガブリエル・メディナとミック・ファニングを倒せて最高の気分さ」
特にガブリエルとのカードはブラジリアン同士ということでまるでサッカーのワールドカップ決勝のように盛り上がっていました。
終了間際に乗った波で共にビッグエアーをメイク。ヤゴがリードでガブリエルがニード7.11のシチュエーション。ビーチに戻る最後の波では互いの健闘を讃え合い、セキュリティと共に控え室に急いでジャッジの答えを待ちます。真剣にモニターを見つめ、ヤゴの勝利が決まった後、ガブリエルは悔しそうな表情をした一方、スポーツマンらしくハグを交わしていました。
今年のブラジル戦で強烈な印象を残したヤゴ。
ファイナルデイは20歳最後の日、5月18日に21歳を迎えました。
次のフィジー戦はウィメンズが先に5月28日〜6月2日に行われ、メンズは6月4日〜16日に開催。
今年からケリーのアパレルブランドがメインスポンサーになった『Outerknown Fiji Pro』はツアーでもスペシャルな波で注目を集めます。
なお、その前には千葉の志田下でQS6,000『Ichinomiya Chiba Open』が5月21日〜28日に開催。
エイドリアーノを始め、五十嵐カノア(USA)、スチュアート・ケネディー(AUS)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、イーサン・ユーイング(AUS)などCT選手が来日して日本最大のサーフィンイベントを盛り上げてくれそうです。
昨年同様にBCMも現地にブースを出すので、ぜひ足を運んでみてください!
PHOTO: © WSL/Poullenot
『Oi Rio Pro』結果
1位 エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)
2位 エイドリアン・バッカン(AUS)
3位 ヤゴ・ドラ(BRA)、マット・ウィルキンソン(AUS)
5位 ジョエル・パーキンソン(AUS)、ミック・ファニング(AUS)、ジョーディ・スミス(ZAF)、オーウェン・ライト(AUS)
2017 Men’s Championship Tour
『Oi Rio Pro』終了後のランキング
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 24,750pt
2位 ジョーディ・スミス(ZAF) 24,400pt
2位 エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA) 24,400pt
2位 オーウェン・ライト(AUS) 24,400pt
4位 エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA) 24,400pt
5位 マット・ウィルキンソン(AUS) 16,750pt
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