コンテスト
ポルトガルでジョン・ジョンが初のワールドタイトルを獲得!
PHOTO:© WSL/Poullenot
ヨーロッパ西部の大西洋に面した歴史ある国、ポルトガル。
近年はフランスを抜いてヨーロッパのサーフィンの中心地となっており、ワールドクラスのサーファーも増えています。
そのポルトガルで開催されていたCT第10戦『Meo Rip Curl Pro Portugal』が現地時間10月25日に終了。
今年は「Rip Curl」に加え、ポルトガルの大手通信会社「Meo」がスポンサーとなり、メイン会場の「Supertubos」、半島を挟んで北側に位置するサブ会場の「Pico do Fabril」の両方でグッドコンディションに恵まれ、世界最高峰のサーフィンレースにふさわしい舞台が整い、長かったタイトルレースにも決着がつきました!
誰も予想していなかったウィルコことマット・ウィルキンソン(AUS)の連勝から始まった2016年シーズン。
コーチを務めたマイクロことグレン・ホールも高い評価を得ていましたが、中盤からは流れが変わり、ブラジル戦で優勝したジョン・ジョン・フローレンス(HAW)がウィルコを脅かし始め、タヒチ戦で遂に逆転。追い上げてきたガブリエル・メディナ(BRA)、ジョーディ・スミス(ZAF)、コロヘ・アンディーノ(USA)、ケリー・スレーター(USA)などもタイトルレースに加わり、ヨーロッパレッグに突入。
フランス戦ではジョン・ジョン、ガブリエル、コロヘが上位に入った一方、ケリーが最下位で脱落、ポルトガルではウィルコ、コロヘが脱落、
最終戦までもつれ込めばガブリエル、ジョーディにもチャンスはありましたが、ジョン・ジョンが圧倒的な強さでファイナルに進出し、ジョーディがSFで敗退した時点でジョン・ジョンの初のワールドタイトルが確定。
子供の頃からサポートされてきたシェイパーのジョン・パイゼルなどとジョーディの勝敗を見守っていたジョン・ジョン。
対戦相手のコナー・コフィン(USA)が後半に見事なバレルライドで9.00をスコアして逆転に成功し、カウントダウンが始まると多くのカメラが彼に向き、全てが決定した後は歓喜の渦に包まれてインタビューブースへ。
PHOTO:© WSL/Poullenot
「正直、今は信じられないよ。まだ実感がわかないんだ。母を始め、家族がオンラインで見ているけど、一緒にこの場にいて欲しかったね。ストークしている。人生の目標だったし、本当に多くの人に感謝しているよ」
インタビューの最中、立役者となった「Hurley」のチームメイト、コナーが近づき、ジョン・ジョンも大声で「コナー!」と叫び、ハグを交わしていました。
「長い一年だったけど、人生で最高の一年だった。楽しいイベントばかりで、とても良い時間を過ごせたよ。同時に多くを学んだ年でもあった。タイトルレースはハワイにもつれ込むと予想していたから、自分のサーフィンを崩さず、一つ一つのヒートを通過することだけを考えていたんだ」
3歳でサーフィンを始め、7歳でコンテスト初優勝、8歳でパイプラインにパドルアウト。その頃にはすでに活躍していたケリーやシェーン・ドリアンなど世界のトップサーファーに囲まれ、早くからその才能を開花。
10代には当たり前のように頭角を現し、2011年にワールドツアーの舞台へ。
翌年には早くも4位、2014年には3位と非凡な成績を残した一方、ヒートでのサーフィンにはアップダウンがあり、’サーフィンは世界一だが、ワールドタイトルにはもう一歩’と言われていました。
転機は2014年、ガブリエルがブラジリアンとして初のワールドタイトルを獲得した時。ミック、ケリーなどの一世代前の選手が独占していたタイトルがジョン・ジョンと同年代の選手に渡り、モチベーションが上昇。
その後はコンテストでのサーフィンに変化があり、勝つために多くを学び、強いジョン・ジョンが誕生。
今年は6シーズンぶりに開催された『The Quiksilver In Memory of Eddie Aikau』で優勝し、目標だったワールドタイトルも獲得。
人気のバロメーターである『Surfer Poll Awards』も10年連続、計19回も受賞していたケリー・スレーターを抑えて2年連続で受賞しているため、これで名実ともに世界一のプロサーファーになったことになります。
PHOTO:© WSL/Poullenot
「このタイトルに人生を捧げ、全てを注いできた。特に今年は特別だったよ。コンペティションとしてのサーフィンについて学んだことが多く、完全に焦点を当てたのさ。それに周囲の素晴らしく手厚いサポートが加わったんだ」
ワールドタイトルが確定した後のファイナルではジョーディを倒したコナーが一転して敵となるものの、そのことを聞かれると、「今年の目標だったタイトル獲得はもう達成したから、ファイナルは楽しむよ」とコメント。
その言葉通り、ファイナルではここまで積み重なったプレッシャーを解き放つように彼を象徴する革新的なエアリアルを連発。
エアーリバースにアーリーウープ。まるでフリーサーフィンを楽しむ如く観客を魅了。最後には高さのあるアーリーウープをメイクして9.50。
コナーを全く寄せ付けず、圧勝してワールドタイトルに華を添えました。
PHOTO:© WSL/Cestari
表彰台では昨年のワールドチャンピオン、エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)からトロフィーを手渡され、コナーに注がれた「コロナビール」を飲み干したジョン・ジョン。
インスピレーションを与えたサーファーは?との問いには真っ先にアンディ・アイアンズ、ケリーの名前を答え、副賞のJeep「ラングラー」のキーを受け取っていました。
ハワイアンがワールドタイトルを獲得するのは2004年のアンディ・アイアンズ以来。
デレク・ホー、サニー・ガルシアと他にもワールドチャンピオンはいますが、3年連続でタイトルを獲得し、4度もトリプルクラウンの王座を手に入れたアンディがハワイアンとして最もワールドツアーで活躍した選手ということに異論はないと思います。
数年前から言われ続けてきたガブリエルとのライバル関係もジョン・ジョンがワールドタイトルを獲得したことで確立。
少なくとも向こう10年はこの二人がワールドツアーの主役となる可能性が高く、まさにこの日が新しい時代の幕開けと言えそう。
背番号の12はケリーの11度のタイトルを上回るという意味も含まれているとのことですが、不可能ではないのでは?
ちなみに「Hurley」のライダーがワールドチャンピオンになるのはメンズ(ウィメンズではカリッサ・ムーア)では初。
すでにスペシャルムービーも公開されています。
これでメンズ、ウィメンズ共にワールドタイトルが確定し、次の舞台は最終戦のハワイへ。
ジョン・ジョンはトリプルクラウンで2011年、2013年と2度も栄冠を手に入れていますが、意外にもパイプマスターだけは得たことがないため、注目が集まりそうです。
すでにノースショアではファーストスウェルが入り、トリプルクラウンの前哨戦『HIC Pro』もスタンバイされています。
PHOTO:© WSL/Cestari
『Meo Rip Curl Pro Portugal』結果
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
2位 コナー・コフィン(USA)
3位 コロヘ・アンディーノ(USA)、ジョーディ・スミス(ZAF)
5位 エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、ミゲル・プーポ(BRA)、セバスチャン・ズィーツ(HAW)
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『Meo Rip Curl Pro Portugal』終了後のランキング
(ワールドタイトル確定)
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 56,400pt
2位 ガブリエル・メディナ(BRA) 45,450pt
3位 ジョーディ・スミス(ZAF) 41,700pt
4位 マット・ウィルキンソン(AUS) 38,250pt
5位 コロヘ・アンディーノ(USA) 38,150pt
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