コンテスト
CT第8戦『Hurley Pro at Trestles』2日目もワイルドカードが活躍!
PHOTO:© WSL/Scholtz
現地時間9月9日、カリフォルニアのローワー・トラッセルズで開催中のCT第8戦『Hurley Pro at Trestles』は2日目を迎え、前日に入った南西〜南南西のグランドスウェルが続く中、R1の残りヒートとR2の12ヒートが進行。
敗者復活戦のR2で敗退することは最下位を意味し、成績不振が続く選手にとっては来年のツアーにも大きな影響を与える大切なラウンド。
そして、この日一番ナーバスになっていたのは、シーズン序盤の快進撃が嘘のように失速しているウィルコことマット・ウィルキンソン(AUS)だったでしょう。
R1ではワイルドカードのターナー・グダスカス(USA)に10ポイントを出され、あえなく敗退を喫していたウィルコ。
R2の対戦相手もワイルドカードのシンポことブレット・シンプソン(USA・写真最上部)、完璧なローカルのターナーと比べるとハンティントンローカルのシンポは外れているものの、ビーチの雰囲気は明らかにシンポ寄り。
スローヒートながら中盤までリードを握っていたウィルコ。十八番のバックサイドも冴えていましたが、後半にシンポがフロントサイドでブローテール・リバース、エアーリバースをメイクして6.87、更にフロントサイドでカービングをベースとしたライディングで6.93をスコアして逆転に成功。
ラスト3分を切ってからウィルコ(写真下)はバックサイドでパワフルなターンを重ねるものの、ニード6.87のシチュエーションでジャッジは6.63をコール。
ラインナップにパドルバックする際、この判定に怒りを表し、ヒート終了後は早々とロッカールームに引き上げてしまいました。
PHOTO:© WSL/Scholtz
「序盤は自分の悪い癖で、変な波にも手を出してしまっていたんだ。それが間抜けなことだと気付き、’落ち着いて良い波を選べ’と自分に言い聞かせたのさ。キチンと波を見て良いと判断してから乗るようにしたのが勝因。彼(ウィルコ)のようにワールドタイトルを争うポジションにいた経験はないけど、彼が落ち込んでいるのは確実だよね。今年はツアーを回っていなく、プレッシャーもないけど、その感覚は持ち合わせている。この場所にいることを十分幸せだと感じると共にもっとサーフィンしたい」
『US OPEN』では2年連続優勝の輝かしい記録を持ち、CTでも6年間戦っていましたが、昨年はリクオリファイを果たせず、今年はQSからやり直しているシンポ。
今回のワイルドカードはターナーと共にトライアルを勝ち上がって得たチャンス。
ターナーはローカルサイドとして、シンポはスポンサーの「Hurley」サイドとして出場していました。
次のR3の対戦相手はカレントリーダーのジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
今年のトップと2番手を倒せば、彼の株も一気に上がることでしょう。
ウィルコの方は、これでシーズン2度目の最下位が決定。更に13位が2つあるため、タイトル争いをしているジョン・ジョン、ガブリエルがイベントに残っている今、非常に不利な立場に...。
ウィルコはフランス、ポルトガル、ハワイと続く残り3戦を全て好成績で繋げることが必至です。
PHOTO:© WSL/Rowland
ウィルコの他、R1を取りこぼした中で注目を集めていたのは、過去に6度もトラッセルズでの優勝経験があるケリー・スレーター(USA)、ディフェンディングチャンピオンのミック・ファニング(AUS)、ローカルのコロヘ・アンディーノ(USA・写真上)の三人衆。
ミック、コロヘは9ポイント台をスコアして余裕のラウンドアップ。
ケリーはルーキーのライアン・カリナン(AUS)を相手に危ない場面もありましたが、ビッグターンをベースに8.30をマークするなどギャラリーを沸かせてR3進出を決めていました。
「昨日のヒートは自分を凄いナーバスにさせたよ。昨日のように波を待ち過ぎるのは止めてとにかく動き回り、プライオテリィを使って良いセットを掴んだのさ。9.17をスコアした後、パドルバックする時は感情的になった。観客の凄い応援が聞こえたからね。今までの人生で最大。そして、最高の気分だった。ここは自分を支持してくれる最高の街。涙が出てきたよ」
R1では同じサンクレメンテローカルのターナーの活躍を尻目に全くと言っても良い程波に乗れず、惨敗して敗者復活戦のR2に回ってしまったコロヘ。
ジェレミー・フローレス(FRA)とのR2で見せた9.17のライディングは巨大なスプレーを上げたレイバックからレールターン、フィニッシュのエアーリバースまで完璧に近く、ホームの観客を沸かせ、最高の形でR1の屈辱を晴らしたと言えるでしょう。
PHOTO:© WSL/Sherman
前日もお伝えした通り、WSLのセキュリティのトップ、ディヴィッド・ウッド、通称ウッディが亡くなり、選手達を含め、関係者は深い悲しみに暮れています。
特にウッディとの付き合いが一番長いケリーはヒート終了後の勝利者インタビューでも笑顔はありませんでした。
「ウッディが亡くなって、悲しいよ。彼はイベントで大切な存在だったから、いなくなって本当に違和感がある。自分が良い結果を出した時、彼は常にサポートしてくれたんだ。今日はウッディのためにサーフィンを楽しもうと思ったよ。今日があっても明日には何が起こるか分からない。当然のように明日があるという保証はないのさ。自分より厳しい状況に置かれている人はいる。自分の人生はかなり恵まれているよね。今まで素晴らしいことが沢山あったし、偉大な人にも多く出会った。自分はあるがままに一日を楽しみたい」
20年以上、一緒にツアーを歩いてきた友人以上の心の支えが突然目の前から消えた悲しみ。
ケリーにとって乗り越えなければいけない壁がまた一つ立ちふさがってしまいました。
その他にR2を通過したのは、カイ・オットン(AUS)、イタロ・フェレイラ(BRA)、ジャドソン・アンドレ(BRA)、ジョシュ・カー(AUS)、カイオ・イベリ(BRA)、コナー・コフィン(USA)、ミゲル・プーポ(BRA)
PHOTO: © WSL/Rowland
メンズの後はウィメンズCT第7戦『Swatch Women’s Pro』のR3が行われ、カレントリーダーのタイラー・ライト(AUS)を始め、ジョアン・ディファイ(FRA)、ニッキ・ヴァン・ダイク(AUS)、カリッサ・ムーア(HAW)が1位通過でQFへ。
ランキング2位のコートニー・コンローグ(USA)はR4行きを強いられ、ステファニー・ギルモア(AUS・写真上)と対戦します。
ネクストコールは現地時間9月10日の朝7時30分(日本時間9月10日夜11時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると南西〜南南西のグランドスウェルが続く予想。
明後日の11日はサイズダウンが予想され、トラッセルズのルールとして土日のどちらかはコンテストがオフになるため、10日に進行する可能性が高いでしょう。
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