『Billabong Pro Teahupoo』はケリーが完全制覇！

PHOTO: © WSL/Cestari

ウィルコことマット・ウィルキンソン(AUS)が開幕戦から2連勝でカレントリーダーの座も他に譲らず進んでいた今年のワールドツアー。
ウィルコの快進撃はオーストラリアレッグを終えてから失速、その一方でジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ガブリエル・メディナ(BRA)と世代交代の中心人物となる二人の選手が猛烈な勢いで追い上げる中で始まったタヒチ・チョープーを舞台とした第7戦『Billabong Pro Teahupoo』が現地時間8月23日に終了。

R3でウィルコを倒したワイルドカードのブルーノ・サントス(BRA)の活躍、そのブルーノ vs ケリー・スレーター(USA)や、ジョン・ジョン vs ガブリエルなど名場面をいくつも生み出したイベントでしたが、一番の主役はR5で2つの10ポイントを出してパーフェクトヒートをメイク、更にR4とQFを合わせると合計4本の10ポイントをマークして9ポイント台をアベレージスコアにしてしまったケリー(写真最上部)でした。
ジョン・ジョンとのファイナルでもリズムは崩れず、10ポイントを出したジャッジが二人もいた限りなくパーフェクトに近い9.90を含むトータル19.67。

タヒチでの5度目の優勝はまさに完全制覇。
CTでは2013年のパイプラインマスターズ以来の優勝、ファイナル進出は2014年のタヒチ以来。
久々に強いキングが世界中のWSLファンを熱狂させた一日でした。

「過去を振り返っても最高の優勝の一つだね。もう引退する間際だってことは隠さないでも分かる通り。そんな自分にとってファイナルでジョン・ジョンと戦うのは夢であり、彼とガブリエルはモンスターそのものさ。ジョン・ジョンは大好きなサーファーの一人。引退する前にここで彼やガブリエルと出来るだけ対戦したい。本当に特別な時間だった。興奮しているよ」


PHOTO: © WSL/Cestari

「全て自分のためにここに来た。そして良い波に乗ることが出来たよ。今回は完全に調和していたし、リラックスしたね。ファイナルでジョン・ジョンと対戦出来れば、負けても問題はなかっただろう。1ヒート毎にボーナスを貰っているようだった。ここ数年は自分にとって悪い成績が続いたけど、それも帳消しさ」

1990年のデビュー以来、記録という記録は全て塗り替えてきたケリー。
CTでは通算55勝目。
もちろん、他を圧倒する大記録(2位のトム・カレンが33勝)で、ジョン・ジョン、ガブリエルでさえ今のペースでは塗り替えることが難しい数字です。

しばらくの間、ワールドタイトル、CTでの優勝から遠ざかり、特に今シーズンは最下位が2度に13位が1度と最悪のオーストラリアレッグでしたが、タヒチ同様に得意のフィジーでの3位が転機となり、J-Bayで5位、そして今回の優勝。ランキングもリクオリファイ可能なギリギリのラインから一気に8位までアップ。
44歳という年齢やウェーブプールやアパレル、健康飲料などのビジネスなど多方面への気持ちが成績不振と言われていましたが、舞台を選べばまだ世界トップの座は譲らないことを証明しました。


PHOTO: © WSL/Cestari

ケリーは優勝の他にA.Iことアンディ・アイアンズに敬意を表した「A.I アワード」も獲得。
2010年にアンディが最後に優勝したチョープーはライバルだった頃から争った特別な場所。

2011年にジェレミー・フローレス(FRA)が最初に受賞してから、リカルド・ドス・サントス(BRA)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、オーウェン・ライト(AUS)、C.J・ホブグッド(USA)が受け継ぎ、やっと手に入れた特別なアワードに感極まる場面も．．．。

「この賞をずっと狙っていたんだ。手に入れてストークしているよ。きっと、アンディは喜んでいると同時に怒っているだろうね(笑) 最後にアンディと戦ったのは、チョープーだった。それは彼が最後に優勝した時さ。セミファイナルで彼に負けたんだ。あれは本当に特別なヒートだった。そして、このアワードも本当に特別。この素晴らしいトロフィーを早く家に飾りたいよ」


PHOTO: © WSL/Cestari

ウィルコがR3で敗れた時点でQF進出がトップを奪う条件だったジョン・ジョン(写真上)は難なくそれをクリア。

ジュリアン・ウィルソン(AUS)とのQFでは土壇場に10ポイントを出されて逆転されながらも、すぐにニードスコアを上回ってSFへ。
SFでは10ポイントを出したガブリエルも逆転。
ケリーさえも虜にする彼のパフォーマンス、そしてヒートを勝ち上がる強さを身に付けた今年。
初のワールドタイトル獲得が本当に現実的になった一戦でした。

「ランキングのトップに立ったことに凄いストークしている。でも、今年はまだ先があるし、この時点ではイエロージャージを手に入れただけ。重要なのはシーズンの最後。一歩ずつ維持したい」

ジョン・ジョンはファイナルで最後の波でバレルに潰された時に怪我をしたというニュースも入っています。
まだ詳細は不明ですが、次のイベントは約2週間後とすぐなので、心配です。

カリフォルニア、ヨーロッパレッグ、最終戦のハワイと続くタイトルレース後半。
ポイント差を考えるとジョン・ジョン、ウィルコ、ガブリエルの3名に絞られてきそう。

次の第8戦はカリフォルニアのローワー・トラッセルズで開催される『Hurley Pro at Trestles』
ウィメンズの第7戦『Swatch Women’s Pro』と併催で9月7日〜18日に行われます。


PHOTO: © WSL/Cestari

『Billabong Pro Teahupoo』結果
1位 ケリー・スレーター(USA)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 エイドリアン・バッカン(AUS)、ガブリエル・メディナ(BRA)
5位 コロヘ・アンディーノ(USA)、ブルーノ・サントス(BRA)、ジョシュ・カー(AUS)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)

WSL Samsung Galaxy Championship Tour
『Billabong Pro Teahupoo』終了後のランキング
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 39,900pt
2位 マット・ウィルキンソン(AUS) 36,000pt
3位 ガブリエル・メディナ(BRA) 35,700pt
4位 エイドリアン・バッカン(AUS) 26,200pt
5位 ジュリアン・ウィルソン(AUS) 25,200pt

WSL公式サイト