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QS6,000『Ichinomiya Chiba Open』を制したのは?



日本で最もレベルが高いサーファーが集まる千葉の波乗り道場、志田下で1週間に渡って行なわれていた『Ichinomiya Chiba Open』が5月29日に終了。

今イベントはQSで2番目にグレードが高い6,000で、ワールドツアーを目指す選手にとって重要な一戦。
開催前に発表されていた五十嵐カノア、シーバスことセバスチャン・ズィーツ(HAW)、ダスティ・ペイン(HAW)、ジャック・ロビンソン(AUS)などは急遽キャンセルしたものの、世界中からビッグネームが集まり、日本ではCT以来の非常にハイレベルな戦いが繰り広げられていました。

日本人選手では仲村拓久未、稲葉玲王が共にR6まで進み、9位でフィニッシュ。
ここで得た1550ポイントはローグレードの優勝と等しく、今シーズンは海外でのイベントにも積極的に参加して更にランキングを上げて欲しいと願います。

ファイナルデイはQFからスタート。コシ〜ムネの風の影響が多少入ったコンディション。クロスゲームが多い中、QSランキング1位で優勝候補の筆頭だったレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)とダークホースのエヴァン・ゲイセルマン(USA)がファイナルに進出。

ファイナルはスロースタート。開始から10分間、両者共に波に乗らずにリスタート。
潮が引いてライトに狙いを絞った二人。一本目はフロントサイドのレオナルドが5.83。バックサイドのエヴァンが縦のアプローチで7.00をスコア。更にエヴァンは6.23を重ね、リードを広げます。
中盤、ようやく二本目の波にテイクオフしたレオナルドはフロントサイドのエアーリバースをメイク。1マニューバーで8.50をマークしてトップに!
後半、エヴァンはニード7.34のシチュエーションでプライオリティを活用してこのヒートで一番のセットを掴み、バックサイドで大きなスナップ。会場を大いに沸かせ、9.17で逆転に成功。
最後までこの波を上回るセットは入らず、レオナルドのミスもあり、エヴァン(写真最上部・下)がQS初優勝を決めました。

「最後の2分は様々な思いが頭を駆け巡ったよ。パイプでの事故の後、サーフィン出来るだけでも幸せだった。この日本でキャリア最高の優勝。そして、6,000ポイント獲得は自分にとって非常に大きい。今後も勢いを持続したいね」



2015年の12月、パイプラインでワイプアウトした後に意識を失い、プロボディーボーダーのアンドレ・ボサに救助されて一命をとりとめたことが大きなニュースになっていたエヴァン。
レオナルドも2015年の『Volcom Pipe Pro』で病院送りになり、約半年も海から遠ざかっていた経験があります。

「レオは強敵だから、厳しいファイナルを予想していた。最後に良い波を乗ることが出来たけど、彼のクローズアウトセクションでのエアーによる8.50は本当に印象的だったよ。レオはまた一つ2位を重ね、すでにクオリファイする可能性が高いよね。自分もレオもパイプで起きたことの気持ちの整理は出来ている。こうして二人して日本に来て、健康な身体でサーフィンが出来るのは本当に凄いことさ」

一般サーファーよりもリスキーなサーフィンをすることが多い彼らにとって海での事故はいつ起こってもおかしくありません。
しかし、それを乗り越えた後は以前よりも強いサーファーになっている例が多々あります。
エヴァンは今回の優勝で一気に52位もランクを上げて3位。2011年からのQSのキャリアで最も上位に入り、クオリファイのチャンスが巡ってきました。



今シーズン、優勝こそないものの、QS6,000で2戦続けて2位のカレントリーダー。更にリプレイスメントとして参加したCTではケリー、エイドリアーノと二人のワールドチャンピオンを倒し、今最も注目されている若手と言えるレオナルド(写真上)
今イベントでもスピード・パワー・フロー、三拍子揃ったライディングは一際目立つ存在でした。

「QSでは3戦続けてファイナルに進出して全て2位。これはキツい。でも、クオリファイのポイントからすると最高さ。ん〜でも、2位は嫌だね。今日の波は難しかった。ファイナルでは一本だけ良い波があったけど、それは彼に乗られてしまったね。今年は良い結果が続き、ストークしているよ」

今シーズン3度目のQS6,000の2位で4,500ポイントを重ね、カレントリーダーの座をキープしているレオナルド。
イタリア人として初のCTサーファーが現実的になってきました。



同時開催のウィメンズQS1,000はローグレードのために海外勢の出場は少なく、ファイナリストは全て日本人選手。
オーストラリア・ゴールドコースト留学中の橋本恋のリードで始まった4人ヒートのファイナル。
すぐに野呂玲花がバックサイドで大きなスナップ、7.93をスコアしてトップに立ち、今度はフロントサイドで6.33を重ね、リードを広げます。
後半、松田詩野がプラオリティを利用してセットを掴み、3マニューバーで9.33。ファイナルのハイエストスコアを出して追い上げますが、逆転はならず...。

QS初優勝を決めた野呂玲花は、「嬉し過ぎて言葉が見つからない。今はカリフォルニアに住んでいるから、日本に来て優勝出来たのは本当に嬉しい。ファイナルは強敵揃いで厳しかった。この優勝は次のロスカボスでのイベントに向けて大きな自信になるわ」

現在は弟の海利と共に日本を離れてカリフォルニアでサーフィンと学校、トレーニングに励んでいる野呂玲花。
6月7日〜12日にメキシコのロスカボスで開催される『Los Cabos Open of Surf』、6月15日〜19日にエルサルバドルで開催される『Copa El Salvador Impresionante』、共にQS6,000に2戦続けて参加する予定です。

ちなみにファイナルで9.33をスコアして2位に入った松田詩野は茅ヶ崎出身でまだ14歳の中学2年生。
今回、MCを務めた間屋口香も彼女のサーフィンを絶賛しており、今後も注目したい選手の一人です。



なお、フィジー・タバルア島ではウィメンズワールドツアー第5戦『Fiji Women’s Pro』が開幕。
初日はR1のみ進行してマリア・マニュアル(HAW)、ディフェンディングチャンピオンのサリー・フィッツギボンズ(AUS)、ニッキ・ヴァン・ダイク(AUS)、コートニー・コンローグ(USA)、カリッサ・ムーア(HAW)ステファニー・ギルモア(AUS)がR3へ。
カレントリーダーのタイラー・ライト(AUS)はR2の敗者復活戦行きを強いられています。
今イベントのワイルドカードはベサニー・ハミルトン(HAW)です。

『Ichinomiya Chiba Open』結果
1位 エヴァン・ゲイセルマン(USA)
2位 レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
3位 タナー・グダスカス(USA)、ビリー・ステアマンド(NZL)

ウィメンズ
1位 野呂玲花
2位 松田詩野
3位 須田那月
4位 橋本恋

ICHINOMIYA CHIBA OPEN powered by GoPro オフィシャルサイト

photo: WSL Covered Images

【ICHINOMIYA CHIBA OPEN まとめ記事はコチラ】

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