コンテスト
2016年CT開幕戦を制したのは?
全11戦(ウィメンズは10戦)で争われる2016年『WSL Samsung Galaxy Championship Tour』の開幕戦が毎年恒例のオーストラリア・ゴールドコーストのスナッパーロックスで開催され、現地時間3月16日にファイナルデイを迎えました。
コンテスト前に強いウネリを運んだサイクロン「ウィンストン」の影響で地形が変わり、バレルこそなかった今年のスナッパーロックスでしたが、異例のコンテストピリオド延長となった昨年と違って期間中はウネリ・風に恵まれ、ウェイティングピリオド前半の利用のみでイベントは終了。
注目の五十嵐カノアのデビュー戦はR5敗退の9位。詳細は前日までのコンテストリポートをチェックしてみてください。
2年連続でワールドタイトルを獲得したブラジリアン・ストームの勢力は開幕戦を見る限りではやや衰え、ガブリエル・メディナはR3、エイドリアーノ・デ・ソウザはQF、ディフェンディングチャンピオンのフィリッペ・トレド(写真上)はSFでエアーリバースの着地に失敗した際にボードが足にヒット。苦痛に耐えながらもヒートを戦い抜きましたが、僅差で敗退。海から上がった後は自力で歩くのも困難なほどで、セキュリティと父親に助けられながらドクターの元に...。
残念ながらフィリッペの怪我は深刻で、次のベルズ、第3戦のマーガレットリバーは欠場するそうです。
ファイナルはQFでエイドリアーノ、SFでフィリッペを倒したウィルコことマット・ウィルキンソン(AUS)とリプレイスメントで参加してケリーとガブリエルの二人のワールドチャンピオン、QFではジョン・ジョンまで倒したジャイアントキラー、スチュアート・ケネディー(AUS)とSFで僅か0.03差のクロスゲームを演じたコロヘ・アンディーノ(USA)のマッチアップ。
共に昨シーズンの下位で、コロヘに関してはQSからのリクオリファイでしたが、両者共にシーズンオフの間に変化があり、イベントを通して目立つ存在でした。
8.60のオープニングスコアで主導権を握ったウィルコ。6.83に4.50のバックアップで逆転したコロヘ。じっくりと良い波を待ったウィルコはラスト5分でバックハンドのパワフルなターンを重ね、ニード4.06のシチュエーションで5.60をスコアして逆転に成功。残り1分を切ってからセットにテイクオフしたコロヘはテール・ブロー・リバースなど素晴らしいライディングを披露しますが、ショルダーが繋がらず...。
ウィルコ(写真上)がCT初優勝を決め、カレントリーダーだけが着用を許されるイエロージャージを手に入れました。
「今年最初のQSで優勝をして、このイベントでも優勝出来るなんて最高の気分だよ。期待はしていなかったけど、ずっと願っていたことさ。エイドリアーノ(QF)とのヒートは以前だったら負けていた試合。最後にスコアを出せたことで、海が自分の味方になってくれたと気持ちに火がついたね。プレッシャーがある中で良いサーフィンが出来た。イベントを通してスナッパーロックスの本来の素晴らしい波には乗れなかったと感じているけど、ファイナルで最初に乗った波は二つの良いセクションからスタートしたんだ。優勝出来て本当にストークしている」
今年はニューキャッスルで開催されたQS6,000で優勝。
その理由の一つとしてあげられるのは、昨年CTを引退してコーチを務めているグレン・ホールの存在。
実はグレンは『Roxy Pro Gold Coast』で優勝したタイラー・ライト(AUS)、バーレーヘッズでのQS1,000を始め、ジュニアでは3勝と絶好調のイーサン・ユーイング(AUS)のコーチまでしており、早くも最高の成果を発揮しているのです。
「今年はトップ10、出来ればトップ5を目指しているよ。ここ数年は10代の選手の下にいたけど、違うスタートになったね。ヒートを戦っている時、そして自分のサーフィン自体が成長した気がする。今年はこの調子を維持してタイトルを獲得したい」
ツアー7年目のウィルコは常にリクオリファイのギリギリラインで、タイトル争いに絡んだ経験はありませんが、初優勝を成し遂げた後のインタビューは自信に満ち溢れていました。
ファイナル直後のピーターメルからの「このイベントで優勝した秘訣は?」との問いには、「誰にも負けないことさ」とウィルコらしいシンプルな答えをしていました。
ちなみにスナッパーロックスはレギュラーフッターに有利な舞台であり、グーフィーフッターで制したのは、2004年のミック・ロウと2014年のガブリエル、そしてウィルコの3名のみです。
同時開催の『Roxy Pro Gold Coast』はディフェンディングチャンピオンのカリッサ・ムーア(HAW)をSFで大逆転したタイラー・ライト(AUS・写真上)がコートニー・コンローグ(USA)とのファイナルを制してスナッパーロックスでは2013年以来の優勝。
R2でパーフェクトに近いライディングを披露したステファニー・ギルモア(AUS)を始め、ハイスコアが連発した今シーズンの『Roxy Pro Gold Coast』でしたが、最後はオージーらしいパワーサーフィンがトレードマークのタイラーが笑うことになりました。
ワイルドカードで今イベントを盛り上げた弟のマイキーに担がれて表彰台に向かったタイラー。
そして、控え室で待つオーウェンの元に駆け寄り、泣きながら兄妹で優勝の喜びを分かち合っていました。
「ここ数ヶ月で起きた全てのこと。とてもクレイジーな経験をしたわ。この場所に立つことが出来て最高の一日になったし、私がやるべきことをハッキリさせてくれた。ワールドタイトル獲得の実現。それが自分の目指す道よ」
「ベストを尽くしたい。ステフ、カリッサ、コートニー。ツアーの全ての選手が最高よ。自分はやるべきことをするだけ。長い間、私は優勝出来るし、それを信じていた。ヒートに向かう時は、’あなたは勝てる。成し遂げることが出来る’と自分に言い聞かせていたわ。側で私を助けてくれたマイクロ(グレン)に感謝したい。サポートしてくれた家族、Rip Curl、全ての人にもね。本当に感謝しきれないわ」
ウィルコとタイラーは同じ「Rip Curl」チーム。
兄、オーウェンもその一員ですが、昨年の最終戦のパイプライン、フリーサーフィン中にワイプアウトで頭をリーフにヒットして脳出血という診断を受けて開幕戦前に7月のJ-bayまでのシーズン前半をキャンセルすると発表。
これは妹のタイラーにとっても辛く悲しい状況であり、その逆境が強さとなって今回の優勝に結び付いたのかもしれません。
更にグレンのコーチも大きな勝因の一つと言えるでしょう。
今年も開幕戦から続くオーストラリアレッグは、ゴールドコースト、ベルズ、マーガレットリバーの3戦。
次のベルズ『Rip Curl Pro Bells Beach』は約1週間後の3月24日から開幕します!
『Quiksilver Pro Gold Coast』結果
1位 マット・ウィルキンソン(AUS)
2位 コロヘ・アンディーノ(USA)
3位 フィリッペ・トレド(BRA)、スチュアート・ケネディー(AUS)
5位 ジョエル・パーキンソン(AUS)、エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)、エイドリアン・バッカン(AUS)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
『Roxy Pro Gold Coast』結果
1位 タイラー・ライト(AUS)
2位 コートニー・コンローグ(USA)
3位 カリッサ・ムーア(HAW)、ジョアン・ディファイ(FRA)
5位 ステファニー・ギルモア(AUS)、マリア・マニュエル(HAW)、セージ・エリクソン(USA)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(HAW)
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
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