コンテスト
今年のワールドジュニアを制したのは?
北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、ハワイ、日本。
世界中から選ばれたジュニアがポルトガル・エリセイラに集結して開催された『Ericeira World Junior Championships』
約1週間に渡って争われた世界一のジュニアのタイトルが現地時間1月13日に決定!
イベント前半は強い西〜北西ウネリとオンショアによってメイン会場は使用出来ず、バックアップの「Praia dos Pescadores」で進行。レフト中心にスコアが出る波もありましたが、基本的には風の影響で難しいコンディションが続き、厳しい戦いを強いられていました。
後半は風・ウネリ共に落ち着く予想を考慮して2日間のレイデイ。そして、メインのライトのポイントブレイク「Ribeira D’Ilhas」に移動してクライマックスを迎えました。
ファイナルデイは公式3-4ftレンジ。まとまり初めで波数が多かった前日と比べてクリーンなコンディションでしたが、波数が少なく、限られたチャンスを活かした選手が勝ち上がる展開に。
オープニングヒートとなったQFのH1では大原洋人がオーストラリア代表のソリ・ベイリーと対戦。序盤に2つのミスを重ねてしまった大原洋人に対してロングショルダーの波を掴んだソリが7.33。中盤からはハイスコアに結び付く波が入らなくなり、5.83のバックアップを重ねたソリが最後までリードを許さずにこのヒートを手に入れていました。
序盤の2つのミスがなければ...と思いますが、勝負の世界に「たられば」は禁句。
インタビューでも話していましたが、ミスを無くすことが今後の課題だと言えるでしょう。
QFのH4でブラジル代表のルーカス・シルヴェイラと対戦した五十嵐カノア(写真上)は大原洋人とはシチュエーションが違い、序盤に美しいカービングで7.17、9.00をスコアして主導権を握っていました。
しかし、8.40を返したルーカスが後半に「スピード・パワー・フロー」全て揃ったライディングで9.20をマークして逆転に成功。
結果、敗退となった五十嵐カノアでしたが、その内容は今シーズンから舞台に立つワールドツアーでの活躍を期待させてくれるようなものでした。
イベントは五十嵐カノアを敗ったルーカス(写真上)がSF、ファイナルでもリズムを崩さず、ハイスコアを重ねて優勝。
R3では唯一のパーフェクト10。9ポイント台が3本とワールドジュニアのタイトルにふさわしいパフォーマンスをコンスタントに披露していたルーカス。
ファイナル終了後のインタビューでは、「嬉しくて震えが止まらないよ。長い2週間だった。長い間待ったかいがあって昨日と今日は良い波に恵まれた。ファイナルは波数が少ない中、ありがたいことに良いスタートを切れたし、最後も良いスコアを出せたんだ。最低のヒートでも15ポイントは出していたし、自分にとって最高のイベントになったね」と興奮しながら話していました。
2015年のQSランキング104位。ほぼ無名の選手で大きなスポンサーもついていませんが、これが2年連続でワールドタイトルを獲得したブラジルの層の厚さの証明でもあります。
2016年もブラジリアン・ストームが吹き荒れる確立は極めて高そうです。
ルーカスとファイナルを戦って2位に入ったティモシー・ビッソ(写真上)もほぼ無名の選手。
カリブ島に浮かぶ西インド諸島の一角。フランス語を公用語とするグアドループ代表で、「Ribeira D’Ilhas」ではバックハンドでパワフルで大きなマニューバーを連発。ビーチブレイクよりもリーフブレイクで映えるライディングが印象的な選手です。
「自分にとっては凄い結果だよ。ファイナルは波数が少なく、自分のベストを出せず、計画通りにいかなかった。それだけが悔いに残るけどね。でも、ワールドジュニアでの2位は素晴らしいし、他の選手のこともリスペクトしている。今年は自信を持ってQSツアーを回れるよ」
ワールドジュニアでの上位入賞はQSでのシード権にも繋がり、最もグレードが高い10,000に参加可能になります。ここでは一つのラウンドを勝つだけでもポイントを稼げるため、その先のワールドツアーを目指す選手にとって大きなチャンス。それと同時に開かれた扉をどのように使うかが試されることになります。
ウィメンズはオーストラリア代表のイザベラ・ニコルズ(写真上)とハワイ代表でディフェンディングチャンピオンの前田マヒナがファイナリストに選ばれ、序盤に8.93をスコアしたイザベラが9.37を重ねてトータル18.30。前田マヒナは7.33止まりでバックアップスコアも伸ばせず、2連覇はならず...。
「とても嬉しいわ。それ以外、言葉が見つからないの。ラッキーにも二つの波に乗ることが出来た。私達の場所までスコアが聞こえてこなかったから、状況は把握出来なかったの。最初にリードしていると知った時、落ち着こうとしたわ。それからセットが止んでしまった。人生で最高に長く感じたヒートだったわね」と優勝後のインタビューに応えていたイザベラ。
2015年はジュニアで3勝。QSでは優勝こそないものの、コンスタントに上位に入り、ランキング14位。
サンシャインコーストの「Coolum Beach」で両親のサポートの元、才能を開花させてすでに「Billabong」のサポートを受けています。
一見、華奢に見えますが、ハードなトレーニングを積んでおり、「Ribeira D’Ilhas」でも大きなスプレーを上げていました。
昨年、16歳にしてワールドジュニアのタイトルを獲得した前田マヒナ(写真上)
クオリファイには届きませんでしたが、QSでの優勝。ワールドツアーにワイルドカードでの出場など飛躍の年でもありました。
「アップダウンはあったけど、素晴らしいイベントだったし、沢山のことを学んだわ。ベラ(イザベラ)とのヒートは毎回楽しんでいる。自分のミスで負けたことも学びの一つね。間違いなく、今回の2位はこれから始まるシーズン、そしてその先の将来に向けて私をハングリーにさせる。この場所はとても気に入っているの。だから、来年も必ず戻ってくるわ」
まだ17歳のために来年もワールドジュニア出場の可能性は十分にありますが、彼女が重要視しているのはワールドツアー入りであることは間違いありません。
『Ericeira World Junior Championships』結果
1位 ルーカス・シルヴェイラ(BRA)
2位 ティモシー・ビッソ(GLP)
3位 ソリ・ベイリー(AUS)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
5位 大原洋人、ミハマナ・ブレイ(PYF)、オニール・マッシン(PYF)、五十嵐カノア(USA)
ウィメンズ
1位 イザベラ・ニコルズ(AUS)
2位 前田マヒナ(HAW)
3位 テレッサ・ボンバロ(PRT)、ホリー・ウォン(AUS)
5位 ティア・ブランコ(USA)、カミラ・ケンプ(PRT)、ダックス・マックギル(HAW)、メラニー・ジウンタ(PER)
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
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