コンテスト
『Moche Rip Curl Pro Portugal』フィリッペ優勝でランキング2位へ!
いよいよ大詰めを迎えた「WSL Samsung Galaxy Championship Tour」の第10戦『Moche Rip Curl Pro Portugal』が現地時間10月30日に終了。
フランス、ポルトガルと続くヨーロッパレッグのセカンドイベントの舞台はポルトガルを代表するビーチブレイク、ペニシェ「Supertubos」
イベント期間中は不安定なコンディションに悩まされ、結局本来の姿を見せたのはR2の残りヒートからR4のH2まで進行した3日目のみ。
そんな中、ローカルの活躍、再び勢力を増したブラジリアン・ストームが注目されていました。
ウェイティングピリオド内に期待出来る日が無かったため、キーレン・ペローに代わってコンテストディレクターを努めていたトラビス・ロギーは風の影響が入った難しい波でファイナルデイを行なうことを決断。
この判断がブラジリアンにとって逆に追い風となり、 フィリッペ・トレド、イタロ・フェレイラがエアリアルを武器にファイナル進出。
一方、優勝すればカレントリーダーのチャンスもあったガブリエル・メディナ(BRA)はQFでイタロにインターフェアを犯してしまい、5位でフィニッシュしていました。
フィリッペが天を指差し、イタロが海を見つめ、集中力を高めて最後の舞台へ。
ファイナルはフィリッペのパーフェクト10からスタート。リップ、ブロウテール・ノーズピック・エアーリバース、フルローテーションエアーとこの日のコンディションで可能な全ての技を完璧にメイク。
エアリアルのスキルではイタロも肉薄するものがあり、バックサイドでテールハイ・エアーリバース。十分な高さで9.93。5人のジャッジの内、3人が10ポイントを出したほどのクオリティ。アウトでマイクを持っていたピーター・メルも興奮して「マッシブ!」と連呼。1マニューバーでのこのスコアは世界ベストのエアリアルだったと言えます。
フィリッペが10、イタロが9.93。あとはバックアップスコアを伸ばすクロスゲーム。波の悪さを感じさせないハイレベルな勝負はさすがワールドツアー。終わってみれば17.83 vs 17.13。僅か0.70の差でフィリッペに軍配が上がり、ゴールドコースト、ブラジルに続く今シーズン3勝目を決めました。
「もう言葉さえない。ただストークしているよ。ここでは大変な2週間を過ごした。フランスから到着後、腰を痛めてしまったんだ。フランスでは残念な結果に終わったけど、自分自身と向き合うことができた。それが今回の結果に結び付いたんだと思うよ。ファイナルはベストヒートだった。失うものはない、ただやるだけだった」
優勝直後のインタビューを笑顔で応えていたフィリッペ。
フランス戦を終了した時点でタイトルレースは2勝のミック・ファニング(AUS)、1勝ながらコンスタントな成績のエイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)の二人に絞られていましたが、共にR3でローカルに敗退してシチュエーションが変化。
今回優勝したフィリッペがミックとエイドリアーノの間に割り込むように2位にランクアップしてトップとの差は僅か200ポイント。
ガブリエルが4位、イタロが6位に浮上した一方、オーウェン・ライト(AUS)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)がランクダウン。
ミック、フィリッペ、エイドリアーノ、ガブリエル、オーウェン、ジュリアンの6名(イタロはアジャストした計算上で除外)が最終戦のハワイでたった一つのワールドタイトルをかけて争うことになりました。
夕暮れ迫るビーチで行なわれた表彰式。ワールドツアーの中でも大きな部類に入るトロフィーを抱え、「ファイナルで戦う時は、どの場所でも全力を尽くすだけ。ファイナルは特別だし、いつだって優勝を目標にしているからね。自分に不可能はないって思ってやっているよ」
今シーズンはゴールドコーストでの初戦で優勝。エイドリアーノと共にブラジリアン・ストームの一角としてもの凄い勢いで序盤を駆け抜けていたフィリッペ。ピークとなったのは自国での2勝目。ビーチからリーフブレイクに移ったシーズン中盤は失速。一度はかけ離れたタイトルレースでしたが、後半は見事な巻き返しを見せています。
「優勝すれば2位になれるなんて知らなかった。そのことは2日前に聞いたばかりだったし、まだ実現には沢山のヒートが残っていたからね。ハワイでは楽しいことになりそう。ミック、エイドリアーノ、オーウェン、ジュリアン。みんなにワールドタイトルという大きなチャンスがある」
英語での感謝の言葉の後、ビーチに集まった沢山のポルトガルのファンにポルトガル語でメッセージを残したフィリッペ。
ブラジルとポルトガルは同じ母国語。そのポルトガル語を話すワールドチャンピオンが昨年初めて誕生し、今年は多くのブラジリアンやローカルまで活躍して最後は優勝。ポルトガルのサーフィンファンにとって特別な2週間だったと思います。
エイドリアーノやガブリエルのようにジュニアやQS時代から注目されていた選手とは違い、ほぼ無名からクオリファイを果たし、ルーキーイヤーにして大活躍している21歳のイタロ。かつてのオージーのようにブラジリアンの層がそれだけ厚いことの証明でもあります。
「この素晴らしい瞬間を授けてくれた神に感謝している。ここにいる全ての人にも感謝したいね。初めてファイナルまで進めた。信じられないよ。とても嬉しいさ。ハワイのことを想像すると超興奮する。ベストを尽くすよ」
フィリッペ、ガブリエルに並ぶエアリアルの技術はもちろん、フィジー、タヒチでは5位に入るなどバレルのスキルもトップレベルとオールラウンドのイタロ。ルーキー・オブ・ザ・イヤーはほぼ確実と言われています。
なお、最終戦の舞台となるオアフ島・ノースショアではすでにシーズンがスタートしており、トリプルクラウンの前哨戦、『HIC Pro』が開催中!
ファイナルデイを前にQFを戦う16名が決定。イアン・ウォルシュ、マイルス・パダカ、ビリー・ケンパー、ジョエル・センティオなど強豪揃いの中、喜納海人も勝ち上がっています!
熾烈なワールドタイトルの決着がつく『Billabong Pipe Masters』は12月8日〜20日に開催されます。
【ワールドタイトルのシチュエーション】
■もし、ミックが25位か13位の場合
オーウェン、ジュリアンは優勝。
ガブリエルは3位以上。
エイドリアーノは9位以上。
フィリッペは13位以上が必要。
■もし、ミックが9位の場合
ガブリエルは優勝。
エイドリアーノは5位以上。
フィリッペは9位以上が必要。
オーウェン、ジュリアンは脱落。
■もし、ミックが5位の場合
ガブリエルは優勝。
エイドリアーノは3位以上。
フィリッペは5位以上が必要。
■もし、ミックが3位の場合
エイドリアーノは2位以上。
フィリッペは3位以上が必要。
ガブリエルは脱落。
■もし、ミックが2位の場合
エイドリアーノ、フィリッペ共に優勝が必要。
■もし、ミックが優勝した場合
エイドリアーノ、フィリッペ共に脱落し、ミックが4度目のワールドタイトルを獲得。
『Moche Rip Curl Pro Portugal』結果
1位 フィリッペ・トレド(BRA)
2位 イタロ・フェレイラ(BRA)
3位 ブレット・シンプソン(USA)、ヴァスコ・リビイロ(PRT)
5位 ジョエル・パーキンソン(AUS)、フレデリコ・モライス(PRT)、ジェレミー・フローレス(FRA)、ガブリエル・メディナ(BRA)
2015年WSL Samsung Galaxy Championship Tour
『Moche Rip Curl Pro Portugal』終了後のランキング
1位 ミック・ファニング(AUS) 49,900pt
2位 フィリッペ・トレド(BRA) 49,700pt
3位 エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA) 49,450pt
4位 ガブリエル・メディナ(BRA) 45,350pt
5位 オーウェン・ライト(AUS) 43,600pt
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
BCM の Facebook に「いいね!」をしよう
※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。