コンテスト
『Moche Rip Curl Pro Portugal』波乱のR2!?
現地時間10月24日、ポルトガル・ペニシェ「Supertubos」で開幕したCT第10戦『Moche Rip Curl Pro Portugal』は敗者復活戦のR2から再開。
前日に入った西北西ウネリが弱まり、公式3-4ftレンジ。風の影響も入った難しいコンディション。レイデイでも不思議ではない状況にキーレン・ペローに代わってコンテストディレクターを努めているトラビス・ロギーはゴーサインを出し、この判断が波乱を巻き起こすことになり、結局7ヒート進行した時点で翌日以降に持ち越しに...。
オープニングヒートでは前日のR1をとりこぼしたエイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA・写真最上部)がリプレイスメント(代理)で参加しているポルトガルの英雄、ティアゴ・ピレスと対戦。
ミック・ファニング(AUS)との熾烈なタイトル争いをしているエイドリアーノ。ここで負ければミックにポルトガルでのワールドタイトルの可能性を与えてしまうだけに大事な一戦。今シーズン一貫している手堅い仕事をこなし、ロースコア止まりだったティアゴを抑えてラウンドアップ。
「親友のティアゴとの対戦は心苦しかった。それでもティアゴと戦い、ラウンド3に進めたことは嬉しいね。自分の夢であるワールドタイトル獲得を達成するため、全てを注いでいるよ。コンテスト毎にコンディションが変わるのは難しい。今日のように本来の姿ではない’Supertubos’の日もあるけど、その中でベストを尽くすだけさ」
今シーズンはオーストラリアレッグでの驚異的な成績。後半に入ってもカリフォルニア、フランスと上位入賞を重ね、プレッシャーを感じさせない強さを見せています。
「自分の夢はワールドタイトルを手に入れること。シーズンが始まる3ヶ月前に怪我をした時、これが最後のチャンスになると決断をしたんだ。どれだけの努力をしたかは家族だけが知っているよ。自分自身を証明する唯一の方法はワールドタイトルを獲得することだけ。もし、ダメなら良い年だったとは言えないほどの覚悟なんだ」
その他、ティアゴへのリスペクトも数多く言葉として残し、彼の初のワールドタイトル。2年連続ブラジリアンのチャンピオン誕生へのキャンペーンはまだ続くことに。
R3の対戦相手はローカルワイルドカードのヴァスコ・リビイロ。2014年のワールドジュニアをポルトガル人として初めて制した実力はR1でオーウェンとミシェル・ボウレズ(PYF)を倒したことでも分かる通り。
ミックの対戦相手、リプレイスメントのフレデリコ・モライスもそうですが、勝負の行方は五分五分と言っても過言ではなく、R3の大きな見所になるでしょう。
順当な形となったオープニングヒートから一転したのは、H2とH3。
リプレイスメントのカイオ・イベリ(BRA)がオーウェン・ライト(AUS)、スポンサーワイルドカードのメイソン・ホー(HAW)がジュリアン・ウィルソン(AUS)を倒し、2015年のランンキング3位と4位が早くも姿を消すことに...。
コロヘ・アンディーノ(USA)に続くQSランキング2位で来年のツアー入りは確実なカイオは、ブラジリアンらしいバリエーション豊かなビーチブレイクでのアプローチにエアリアルを混ぜて明らかにリズムに乗っていました。
特に7.00をスコアしたダブルグラブレールのエアー(写真上)はMCのポッツが「オールドスクールだけど、大好きさ!」と叫んだほどの完成度。
オーウェンもエアリアルで対抗したものの、僅差でカイオがR3進出を決めていました。
「ヒート前に波チェックしたけど、この波では計画を立てることは無意味だと思ったよ。ラインナップでは約3分毎に波が変わっていたからね。良い波を得るために動き回ってポジションを探していたんだ。CTでの初勝利。最高さ」
初のCT参加は前戦のフランス、オーウェンとR2で対戦して敗退したため、今回は見事にリベンジを果たした形となります。
R3の対戦相手はガブリエル・メディナ(BRA)、彼にとってワールドチャンピオンとの大きな意味を持つカードになりそう。
もう一人のサプライズとなったメイソンの勝利。今シーズン好調なジュリアンは試合巧者でもあり、序盤から確実にスコアに結び付く波をキャッチして6ポイント台を2本まとめてメイソンを追い込みます。
流れが変わったのは後半。ライトの波でコンパクトなバレルをメイクして追い上げてきたメイソンは、ニード6.54のシチュエーションでラスト3分にフロントサイドのエアーリバース(写真上)をメイク。高さもあり、7.40。その裏でバックサイドのエアーリバースにトライしながらも着地に失敗したジュリアンを尻目に逆転に成功。僅か0.87ポイントの差でメイソンがラウンドアップ。
「父親の前で戦えるなんて最高だね。とにかく最後までジュリアンに食らいつく計画だった。チャンスに恵まれ、幸運にも勝つことが出来たのさ。自分のような環境で育った場合、ツアーで戦いたいし、ワールドタイトルへの憧れもある。大分歳をとってしまったけど、まだ学ぶことは多いし、いつか実現出来るようにと願っているよ」
父親はハワイのレジェンド、マイケル・ホー。叔父は元ワールドチャンピオンのデレク・ホー。妹はトップ17のメンバー、ココ・ホーと誰もが羨むようなサーフィン一族の中で育ってきたメイソン。
2015年のQSランキング85位。27歳という年齢も考えるとクオリファイへの道は険しいでしょうが、ユニークなキャラクターでスター性があることは間違いありません。
その他にR2を通過したのは、ルーキーのイタロ・フェレイラ(BRA)&リカルド・クリスティ(NZL)、最終ヒートではジョン・ジョン・フローレンス(HAW・写真下)がこの日一番のスコアをエアーリバースでマーク。ビーチに集まった沢山のギャラリーを沸かせていました。
ネクストコールは現地時間10月25日の午前7時(日本時間の同日午後4時)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると前半はサイズダウン、午後には新しい西北西ウネリが入る予報。
27日の火曜〜28日の水曜はウェイティングピリオド最大の西北西ウネリが入ることが予想されています。
なお、2つのQS6,000と10,000で構成されるブラジルレッグのファーストイベント『Red Nose Pro15 Florianopolis SC』でR4まで勝ち上がっていた大原洋人は、五十嵐カノアと同ヒートに重なり、3位敗退。
五十嵐カノアはデイヴィッド・シルヴァ(BRA)と共にR5進出を決めています。
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
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