コンテスト
『Hurley Pro at Trestles』初日 注目の大原洋人は?
台風ラッシュの日本同様、今夏のカリフォルニア(ハワイも)はハリケーンからのスウェルが次々と入り、サーファーにとっては休む暇もないような日が続いています。
現地時間9月9日、そのカリフォルニアで最もメジャーなスポット、ローワー・トラッセルズで「WSL Samsung Galaxy Championship Tour」の第8戦『Hurley Pro at Trestles』が開幕!
夏の南南西のグランドスウェルに加え、ハリケーン「Linda」からの南東〜南南東スウェルでコンスタントにヘッドオーバー。
快晴、気温30℃、クリーンなフェイス。マシーンブレイク。これ以上ないようなコンディションでR1の12ヒートが進行。
強豪揃いのトライアルを勝ち上がってワイルドカードを得た大原洋人(写真最上部)は、H5でミック・ファニング(AUS)、アダム・メリング(AUS)と対戦。
開始直後に入ったセットを3名共にキャッチ、ライトの波に大原洋人、ミック。レフトの波にアダム。ほぼ同時にテイクオフしたためにスコアが出るのは時間がかかりましたが、深いボトムターン、トップターンでインサイドまで繋いだ大原洋人が7.33と最も良い数字を叩き出していました。
このスコアをベースに大原洋人のライディングはよりアグレッシブになり、後半には7.13のバックアップでトータル14.33。
残念ながら8ポイント台を2本まとめたミックが1位通過でR3へ。2位の大原洋人は敗者復活戦のR2行きになったものの、初めてのCTとは思えないようなパフォーマンスを披露していました。
「先週の金曜日からここに来て準備していたよ。とても良い波が続き、テストも出来たね。最上級のハイパフォーマンス可能な波。腕も足も疲れ果てちゃうほどさ」
現在ランキング2位。4度目のワールドタイトル獲得に向けて確実に仕事をこなしているミックがコメント。
なお、R2の大原洋人の対戦相手はジョシュ・カー(AUS)
どんな組み合わせでも難しいことは変わりありませんが、その中でもジョシュは強敵と言えるでしょう。
もし、コンテストがなく、フリーサーフィンだけの日なら間違いなく激混みになっていたエピックコンディションのローワー・トラッセルズ。
そんな中、ハイエストスコアをマークしたのは通算6度も今イベントを制しているケリー・スレーター(USA)でもなく、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)でもありませんでした。
タヒチでファイナルに進出して復活の兆しを見せたガブリエル・メディナ(BRA)、ツアー11年目のベテラン、フレッド・パターチア(HAW・写真上・下)、2006年に優勝経験があるビード・ダービッジ(AUS)のカードはR1で最もヒートアップ。グーフィーフッターのガブリエル、フレッドがバックハンドで大きなターンを重ねるとビードがリラックスしたスタイルでフロー。クロスゲームが続く中、中盤から後半に差し掛かった時に入った特大のセットでフレッドがバックハンドで目の覚めるようなパワフルなターンを連発。ビハインドピークからのテイクオフ、完璧なレールワーク。フィニッシュまでメイクしたライディングにジャッジはパーフェクト10をコール!
直後にテイクオフして8.50をスコアしたガブリエルが軽く見えたほど、フレッドのサーフィンは力強く、惚れ惚れする一本でした。
終了まで3分以上も残して早々と海から上がったフレッド。そこに待ち受けていたのは、愛する妻と娘、大勢のハワイアンサポーター。
ケリー、ジョシュ、オーウェンなど親友やかつてのチームメイト達のハグ...。
実はフレッドはこのラウンド限りで引退を表明。ハワイの伝統であるレイを首にかけ、片時も離れたくない愛娘を抱きながらインタビューブースへ。
「6ヶ月前から考えていたことなんだ。違う人生を歩んでみたかったし、二人の子供と一緒に家に居たいという気持ちが強くなったのさ。気持ちに陰りはないし、考えに迷いはない。皆が理解してくれることを願っている。自分が何をやってきて、これからどこに向かって進むべきなのか...。自分のキャリアには満足しているし、これからサーフィン以外の場所で様々なことをするのを楽しみにしている。自分には全てをサポートしてくれる素晴らしい妻と家族がいるし、これからの将来も明るいよ。いつかは仕事としてのサーフィンから離れる日が来るだろうと考えていたんだ。今日のシナリオは自分にとって完璧さ」
フィジー戦の間に今シーズン限りの引退を発表したC.J・ホブグッド(USA)然り、ツアーではシーズン終了まで待って引退する選手が大半。衝撃の引退発表をしたボビー・マルティネス(USA)を除くと今回のような引退の形は異例と言えます。
「自分が納得した時、最も良いタイミングで去りたかったんだ。背番号50(今シーズンから選手一人一人に背番号が導入)はこれで最後。チャンピオンシップツアーという大舞台で戦うのは今日で終わりさ。でも、QSの方は楽しみながらやるつもり。完全に退くにはクールダウンの時間が必要なんだ。ここにいる時間が長かったからね。これで夢を諦めたとは言いたくない。だって、すでに夢の世界にいたんだから...。家族のような関係となった皆と離れるのも辛いよ。娘だって’Quiksilver’のマスコットのような存在で、いつもこの場所にいた。サーフィン、プライベート、ライフスタイル。自分にとってCTが全てだったよ」
グーフィーフッターのフレッドはオッキーことマーク・オクルーポ(AUS)を継承したようなスムースかつパワフルなバックハンドをトレードマークに2005年から11年間ツアーで活躍。
ランキングでは2008年の12位が最高位でタイトル争いをするような選手ではありませんでしたが、洗練されたサーフィンスタイルとハワイアンらしい陽気な性格で多くのファンを獲得。
ラストライドがパーフェクト10というのは、彼らしい去り際と言えるでしょう。
ちなみにR3を戦う意思がなかったフレッドは、ガブリエルに勝たせるためにドロップインして自らインターフェアを犯そうとしましたが、プライオリティを持っていたため、結局はフレッドが1位になることに...。
この件に関しては、「あのヒートは負けようとしたんだ。タイトルレースの邪魔をしたくなかったからね。R3は戦うつもりはないよ」と話していました。
その他にR1を1位通過したR3行きを決めたのは、ケリー、エイドリアン・バッカン(AUS)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、オーウェン・ライト(AUS)、エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)、ジェレミー・フローレス(FRA)、コロヘ・アンディーノ(USA)、イタロ・フェレイラ(BRA)、カイ・オットン(AUS)、タジ・バロウ(AUS)
『Hurley Pro at Trestles』R1の後はウィメンズCT第7戦『Swatch Women’s Pro』のR1がH5まで進行。
オープニングヒートでカリフォルニアのレイキー・ピーターソンが9.37をスコアしたのを筆頭にカレントリーダーのコートニー・コンローグ(USA)、ランキング2位のカリッサ・ムーア(HAW・写真上)と9ポイント台が次々と出され、ウィメンズサーフィンのレベルの高さが示されていました。
美しいカービングで9.43のハイエストスコア並びに18.36のハイエストヒートスコアをマークしたカリッサは、「自分自身のことよりも、タイトルレースやポイントを中心に考えているの。ここでコンペティションをして育ったのよ。だから、私にとって特別な場所なの」と話していました。
レイキー、コートニー、カリッサに加え、タティアナ・ウェストン・ウェブ(HAW)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)がR1からR3にジャンプアップ。
R1の残りヒートは、ジョアン・ディファイ(FRA)、タイラー・ライト(AUS)、ローラ・エネヴァー(AUS)のカード。
ウィメンズのワイルドカードはシャークアタックによって片腕を失いながらも最前線で活躍しているベサニー・ハミルトン(HAW・写真上)
「GO MOM!」のプラカードを持って夫と子供がビーチで応援していました。
なお、今イベントから復帰予定だったジョーディ・スミス(ZAF)、ステファニー・ギルモア(AUS)は共に直前でキャンセルを発表。
ジョーディは今シーズン3度目の欠場。ステファニーは4戦連続の欠場。
マット・バンティング(AUS)もフリーサーフィン中の怪我で3戦連続の欠場と厳しいシーズンを送っています。
ネクストコールは現地時間9月10日の朝7時(日本時間9月10日夜11時)
大原洋人はR2のH2に登場します。
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると夏の南西よりのグランドスウェル、ハリケーン「Linda」からの南東〜南南東スウェルが続く予報。
ライブ中継は公式サイト。スマホやタブレットからは公式アプリが便利です。
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
Hurley Japan
tel: 03-5412-1781
web: hurley.jp/
facebook /HurleyJapan
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