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「サーフィンでルールブック策定の難しさ」 - F+コラム

Text by つのだゆき、Photo by snowy

2025年のWSLルールブックの変更点の翻訳をしていて、まぁ、なんかこの辺で現実に問題が起きてもめたんだろうなぁ、という感じがすべての変更点で想像できた。
でも、まだもめそうだなと思ったのは、複数ピークでの試合では、サーファーが選んだピークのテイクオフゾーンについたらプライオリティってことになっていて、例えばだけど、ふたつのピークのうち出るのが早く済みそうなピークにさっさと出てプライオリティを取って、別のピークに移動した場合、プライオリティはそのままなわけだから、それはひとつの作戦として使えるのかなぁ、とか考えた。
地形やうねりの向きや風向きによって、同じポイントでも出やすいピークと出にくいピークがある。いつもそうというわけではないけど、そういうケースは確実にあるわけで、そこ逆手にとって使えるんだろうか、とか、それを使えないようにするにはAピークのプライオリティとBピークのプライオリティをわけなくてはならないわけだけど、それは現実的に無理だよな、とか、なんか考えれば考えるほどサーフィンのルールというのは微に入り細に入り複雑化していく傾向にあるわけで、やはりシステマチックに黒と白に分けるのは難しい。

よって、すべては最終的にヘッドジャッジと過半数のジャッジの意見ということになるわけで、合議制というか、民主主義というか、ファジーな部分が残る。
すべてのスポーツにおいてこういうファジーな部分はあるものの、特に自然環境下で行われる競技はルールブックじゃ足りないことがたくさん起こるわけだ。
ゲットの時のパドリングインターフェアなんて、故意か故意じゃないかなんてどう判断する? あれわざとでしょ、なのか、流されてあっち行っちゃったね、なのか、いくら過半数とはいえ、ジャッジの個人的な感覚によるところが大きい。よほどのことが見えない限り、わざと、という判断をするのは難しくなるんじゃないかと思うんだけど。
まぁ、こういうことを考えるといつも、だからサーフィンはシビアな競技スポーツには向かないんだよなぁ、という結論に達してしまう。

エフプラスコラム
ボビー・マルチネス(2010年)

そしていつも、2011年のニューヨークでのボビー・マルチネスのヒート後の勝利者インタビューでの発言やその後の言動を思い出し、ひとつひとつ、すべてボビーは正しかった、と思う。まぁ、あの場面であの時代にあれを公言しちゃえば、「クビ」という結末は予想できただろうし、ま、それを覚悟での発言ではあったけど、15年近くたってみて、ASP、WSLが歩んできた道をボビーの発言をもとに検証してみると、ボビー・マルチネスという人のサーフィンに対する理解力とか、行く先を見る力のすごさに舌を巻く。



ボビーの言った、サーフィンはテニスやサッカーやバスケットボールみたいには決してならない、ということ。個人的にはこれは正しいと思う。
でも、そうなることを目指して、その方向に突き進んでいるのが現状ではある。
まぁ、15年も前の話なので、忘れている人や知らない人もいるかと思うので、次回はボビー発言の復習と、その年から今に続くツアーの流れの変化を。

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