コラム特集
「2025年カレンダーを解説」 - F+コラム
Text by つのだゆきお届け時期でご心配をおかけしていたカレンダー予約販売(BCM会員は年間特典)ですが、既に発送済みでして、到着日はまちまちとなっていますが順次お手元に届いていることと思います。いろんな方から嬉しい反響をいただいていて、作って良かった、って感じ。
私の一番好きなセンターのポルトガル、ペニシェの夕景ですけど、皆さんに味わっていただきたいのはあの空気感です。カリフォルニア、アメリカ西海岸でもなく、オーストラリアのゴールドコーストとも全く違う空気感。ちょっと寂しいというか、さびれた(さびれてはいないけど)感のある、漁村風な空気。明かりの色、建物の低さ、もういかにも南仏、スペイン、ポルトガルの空気が写ってるわけです。夕景の色の派手さがすごいのに、あのうらぶれた雰囲気というか、なんかねぇ、何回観てもしみじみ思うわけです。何を? と聞かれてもわからないけど、しみじみ沁みちゃう。この感覚って、紙ならではかなぁ、と思う。なんかね、年とるとアメリカやオーストラリアの明るさより、ヨーロッパ文化の重さにグッとくる感じ(笑)。
1月のカウリ・ヴァアストは、もう波も波なら乗ってる人も人、みたいな、まさにパリ五輪ゴールドメダリストにふさわしい、素晴らしい1枚。
3月のケリーは、まるで絵のような波と光の美しさの中にいるケリー。安定感というか、フォームの美しさというか、変な癖やおかしなところがなにもないバックハンドのグラブレール。つい見逃してしまいがちだけど、こういう美しいサーフィンってもっと評価されるべきだと思う。
5月のバレルの中のガブリエル・メディーナ。この板をしごいてしごいて加速している感わかります? 一瞬でも気を抜いたら巻き上げられてしまう場所でのしごきの猛加速。こういう技術のすごさも、もっと評価されるべきだと思う。バレルは何秒入ってたから、とかだけでは判断できないと思うんだけどね。
6月のジャック・ロビンソン。もう試合でこの高さのエアーをメイクするのは奇跡ではなくなってしまった今日この頃。サーフィンはどこまで進化するんだろうか。
そして2月のケイトリン・シマーズと10月のキャロライン・マークス。ここ何年も数人の女子を入れているわけだけど、今回ほど表紙の各月並んだ中にうまく2枚が混ざっているというか、パッと見これとこれが女、という突出した違和感のないのも珍しいかな、と思う。イコール女子のサーフィンの進化が明確なわけだけど、キャロラインはしいて言えば止まってる感はある。でもまぁ、この人はぶっといスプレー出すけどここで止まるのがこの人なので我慢してもらって、でもケイトリンのレールの立ち方ときたら、とんでもないな。今現在サーフィン史の中で、男女間の差が最も小さいといえるかもしれない。まぁ、このままでは終わらないと思うので、次はメンズサーフィンの進化の加速が待たれるところ。毎年カレンダーを作っていると、世界はどんどん変わっているということを目の当たりにする。
スタート前にちょっと物議をかもしたヴァンズ・パイプマスターズ。パイプとしてはマックスに近い感じのサイズに恵まれた時間帯もあって、マスターを決めるにふさわしいイベントになったと思う。
ネイサン・フローレンスとエリン・ブルックス。
ネイサン、イヴァン、ジョンジョンと、このフローレンス3兄弟のハワイ、特にパイプでの強さは、いくらホームとはいえ、すごいと思う。
CTフィジーでワイルドカードで優勝、そしてパイプマスター女子優勝と、今年のエリン・ブルックスはレフトのバレル勝負で突き抜けている。2025CTデビュー戦のパイプでの活躍も期待できそうだ。
そしてそのあとエディ・アイカウインビテーショナル。ワイメアのビッグウエイブ。ウイナーはランドン・マクナマラ。リアム・マクナマラの息子さん。
パイプとワイメアが同じような期間に連続で行われるのは、この季節だとそう珍しいことではない。過去、パイプの試合期間中にエディだったことってあったと思う。ビッグスウェルでパイプ、ジャイアントになってパイプがマックス越えればワイメアと、やはりこの季節のノースショアというのはパワフルだと思う。まぁ、ワイメアは朝のゴーのあとにいつ風が吹き出してしまうかが問題なわけだけど、なんとか持った感じだろうか。
なんか、こうなってくるとハワイがハワイの特別さを見せつけているような2024年12月。CTパイプはどうだろう。
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