コラム特集
「アジアオープンの会場に大手サーフブランドのロゴがない」- F+コラム
Text by つのだゆき、Photo by snowy失って初めて気づく重要なことに、失う前に気が付いたほうがいい。
これが前のコラムで予告した、QS1000で大いに思ったところ。
まぁ、皆さん久しぶりのコンテスト会場に集結、みたいなことで、いろいろ思うところはあっただろう。1000じゃなくてもっと大きな大会とか、設営がしょぼいとか、1試合で決めちゃうってねぇ、とか、まぁ、外からは言いたい放題なのでね。私は試合の設営なんかテント1個でいいじゃん、と思うほうなので、別にあれでいいし、1000とはいえ結構お金のかかることなので、まがりなりにもCSに出れる選手が決められる試合がひとつでも成立したことを評価するべきだと思う。
だってさ、みんな考えた? あの試合が成立しなかったら、日本からCSには誰も出られなかったんだよ。現在はジャパンというリージョンではなく、アジアパシフィックというリージョンなので、試合のない国の枠は他のアジアパシフィックリージョンの中で試合のあった国に流れるわけで、今回ならフィリピンとかインドネシアとかに行っちゃってたわけよ。そういうルール。よって、この試合を成立させることがいかに大事だったか、ということはご理解いただけましたね?
で、それを踏まえて、この試合のフライヤーの協賛スポンサーロゴをじっくり見ていただきたい。CSを目指す選手たちのサーフボードのノーズにロゴがドーンと入っているような、いわゆる大手サーフブランドって、GOTCHAだけですよ。それはイコール、お金が足りなくてこの試合ができなくて、自分たちのサポートしている世界を目指すサーファーたちがCSに出られなくても構わない、ということにならないですかね?
あるいは誰かがやってくれるんだろうから、大丈夫でしょ、なの?
100歩譲ってCS出場権もなにもかかってなかったとしても、今シーズン最初で最後のたったひとつの国内でのQSイベントですよ。そこに大手サーフブランドはお金出さないんだね?
まぁさ、誰もがお金に余裕があるわけじゃないし、現状ではスケートやスノーやヨガやランニングみたいな、サーフィンじゃないところがメインマーケットのブランドも多いだろうけど、ルーツはサーフィンだし、実際にはサーフブランドとして選手のボードのノーズにロゴ貼らせてるんでしょ?
インターナショナルブランドの方々はふた言目にはインター側の意向で、とかいうけれど、それはイコールあなた方のブランドは日本のコンペシーンはどうでもいい、ということですよね。100万200万とかじゃなくても、せこいけど10万円だけでもいいよ。社員がひとりエコノミークラスで海外出張に行くチケット代相当(笑)。それでも10社集まれば100万円だからねぇ。これは大きいと思うよ。誰がどう見ても潤沢に予算があるようには見えない赤字覚悟のイベントだったと思うからさ。
まぁ、かくいう私もF+として協賛してはいないけど、個別に選手もサポートしていないからねぇ、誰もCSに出れなくてもいいし(笑)。
なんかねぇ、そんな大事な試合会場に選手のノーズに入っているロゴがどこにもない、って、本当に情けなかったし、ふーん、そういうことなんだ、と思った。
そして、そういうことであるならば、選手には申し訳ないけど、いっそこの試合が資金不足で成立せず、今年のCSには日本人枠なし、になったほうが良かったのかもしれない、とも思った。そうなって初めていろんなことが動き出すんじゃないのかな。それでも動かなければ、この業界はそこまでだし。
選手もさ、試合はあるのが当たり前、じゃないからさ、1回ぐらいそういうことを食らってもいいかもしれない。
みんな失ってみないとわからないんだろうな、と思うし、失ってからじゃ遅いんだよ、とも思う。なんか、いろんなことを考えさせられた試合だった。
運営関係者の方、他社スポンサーの方、本当にありがとうございました、って選手をサポートしている大手サーフブランドの人たちは思ったほうがいい。あなたたちがスルーしたこの試合の成立は、あなたたちのライダーにとって超ラッキーなチャンスだったんだから。当然選手は、このチャンスがあったことに心から感謝しなくてはならない。SNSとかでジャッジをディスってる場合ではない。試合というのは選手がいいと思ったサーフィンにポイントが出るのではなく、ジャッジがいいと思ったサーフィンにポイントが出るものだ。それが納得いかないなら、そういうジャッジの試合には出ないこと。
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