コラム特集
「稲葉玲王はザ・コンペティター」- F+コラム
Text by つのだゆき、Photo by snowy今シーズン国内最初で最後のQSイベント、QS1000アジアオープン。優勝はメンズ稲葉玲王、ウイメンズ脇田紗良。
CS出場権を得たのはワイルドカード含めてメンズが稲葉玲王、村上舜、脇田泰地、上山キアヌ久里朱。ウイメンズが脇田紗良、都筑有夢路、野中美波、松永莉奈、松田詩野。脇田兄妹そろい踏み。
この男女の人数の割り振りは、世界のトップ100の中に各リージョンの選手が何人いるかで決まっているらしい。それでも上位を占めるオーストラリアの選手からは、上位の10人も下位の10人も同じ10%というのはいかがなものか、とかで不満が出ているらしい。このシステムもコロナが明ければ元に戻ると思うので、今しばらくの辛抱か。
ともあれ、1試合で決めたわりには結果は順当といえば順当だし、取りこぼした人もいるにはいる。先に言ったように本命同士のつぶしあいも起きて、クオーターファイナルの大原洋人と稲葉玲王は、どちらか負けたほうが出場権を逃すということになってしまい、大原が出場権を逃した。まぁ、ヒート組はシーディングで決まっていたので、運が悪かったとしか言いようがないと思うし、1試合で決めるというのはこういうことなんだと思う。
試合のほうは、なんだろうね、村上舜にびっくりするほど点が高かったかな、ということがマイトップニュースか。序盤は悪くなかったヒートもあったけど、今回全体的にあまり村上の出来は良くなかったと思う。表面的なというか、板がずっと浮いているようなサーフィン。特にファイナルデーは普通に点がついていればファイナルにはいなかったと思う。あの、ずっとデッキが見えているような、フェイスやリップをなめていくようなサーフィンにハイグッドとかエクセレントとか、もうあからさまに高かったかな、と思う。まぁ、舜が悪いわけじゃないので、もらえるものはもらったほうがいいけど、ちょっとほかの人が可哀そうかなと思った。このサーフィンのどこをどう評価したらあのポイントになるのかをずっと考えながら観戦した。たぶん見栄えのいい波に乗っている、というのは大きな要素かと思う。でもやってることのクオリティはいただけなかった。
優勝した稲葉玲王は、ヘビー級ならではのパンチーなバックハンドハック、という武器を最大限に使い、安定して攻めてたと思う。1ヒートの中でベストスコアとバックアップを確実にそろえる能力の高さはすごいと思う。ザ・コンペティター。
脇田紗良。ファイナルで見せたエクセレントのあのターンができるなら、ほかの上で加速出来ないターンをどんどん減らさないと外じゃ勝てないと思う。
最近上で両手あげてダンス的なターンをする選手が多いけど、これ、ダメでしょ、って話で大野修聖と超盛り上がって、そこから先のターンのカルトな話、楽しかったなぁ。マー君は今松田詩野を見てるって話から、詩野のトップターンはさぁ、って私の感想から始まって、どんどんターンのディテールの話に進み、トップターンの全体の弧の中のわずか10センチぐらいの部分の足の使い方、ピンポイントの技術論で、CTでも誰と誰はいい、ダメ、みたいな、もう全く同じ場所を見ていて、わが意を得たりだった。たぶんスーパースローで比較とかしても、マー君と全く同じ瞬間に、ここ、って言えると思う。まぁ、お互いコーチとしてその辺の詳細は企業秘密だけど(笑)。
そこの技術論の観点から行くと、日本ってどんどん海外と離れちゃってるよね、という結論。とても近くなっているように感じるかもしれないけど、現実の技術的には離れてる、という意見の一致もみた。
たぶんあまりに細かすぎて伝わらない話だけど、今回の試合では観客を入れての大きな制限のない試合だったので、久しぶりにいろんな話を普段会えない人とできたのは楽しかった。
まぁ、この試合に関してはそれ以外にも大いに思うところがあったので、それはまた来週。
その前にカレンダーコラムのステファニー・ギルモアをやっつけないといけないので。追われるなぁ……。
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