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「ワールドツアー>オリンピック、とできるのか?」- F+(エフプラス)

Text by つのだゆき

エフプラス

最新で上がっているディベートは過去のベスト版。すでに取り上げたやつの中から選ばれた4つは、

1:ビッグウエイブのラインナップでの安全の確保、ジェットスキーやサーファーに対する交通整理の必要性(ロス/ミック)

2:モーガン・シビリックがオーストラリアのベストサーファーかどうか(ストライダー/カイポ)

3:エアーの多い最近の試合について(ミック/テイラー)

4:ライバリズムについて(ロス/ケリー)

まぁまぁ、どれも印象に残るものだったね。

オリンピックが近いからなのか何なのか、試合もないし、WSLちょっとトーンダウン感あるかな、と思う。始まっても自分たちは選手貸してるだけで主催ではないので、トーンダウンだろうしな。この辺ちょっとビミョ~なところあるな、と思う。サーフィンというスポーツがオリンピックに入ってメジャーなものになるのは歓迎だろうけど、ワールドチャンピオンとメダルの価値観の争いというか、上下がどうつくかによっちゃ、WSL最大のピンチにもなりうると思う。
例えばテニスのように、金メダルよりウインブルドン優勝のほうが、はるかにアスリートにとってのステータスが高くなれば安泰だろう。ゴルフやバスケットボールなんかもこっちのグループ。金メダルよりパイプマスターの称号が欲しいと思わせられるかどうかだ。

逆に柔道や体操、水泳みたいに、世界選手権優勝は五輪予行演習的な位置づけで、本命はオリンピックでの金メダル、ってことになっちゃうと、WSLとしては世界最高峰とは言いにくくなる。オリンピックにおけるサーフィンの主導権を握る国際連盟はISAということで、下世話な話に落としちゃえば、WSL vs ISAの世界取り争いってことだ。まぁ、ここは昔からVS関係なので、仲良く手に手を取って歩んでいきましょう、という図式は私には想像がつかない。本音では食うか食われるかしかないかな、と思う。現状では食われそうになってたISAがオリンピックという怪物を味方につけて大反撃中で、WSL流血、という様相に見える。

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PHOTO: © WSL

転びようによっては、CTへのクオリファイそのものも今よりだいぶ価値が低くなっちゃうケースもあると思う。ワールドツアーよりワールドサーフィンゲームス優勝的な。
例えば最後に五輪代表権を大原洋人にかすめ取られた村上舜。まぁ、落ちてないわけもないだろうけど、人生が終わったわけでもない。たかがサーフィンだ。たたき落とされたどん底から這い上がるには、後半のチャレンジャーシリーズで2022シーズンのCTクオリファイを決める、なわけで、2021アジアランキングトップということで、有利なスタートを切れる。そして試合数も少なさそうなので、かなり大きなチャンスを持っているといえる。
でも、だ。でも、例えばクオリファイしたとして、それはビッグニュースには違いないけど大原がメダリストになった場合、ビフォーオリンピックの価値観でCTクオリファイが評価されるかどうかは疑問だ。この先の若手サーファーが目指す先がメダルなのか、CTなのか、それによってその目標に対する最短距離とルートは変わってくる。
まぁ、オリンピックでのサーフィンは、海のない都市での開催では不可能だったけど、今やプールというテクノロジーがあるので、常時開催種目になりうる。そうなるとなぁ、どうなんだろう。

私は東京オリンピックを知るド昭和のオバサンなので、メダルの魔力ってすごいと思うし、それが何色であっても取っちゃえば終生オリンピックメダリストという肩書がつくわけで、その肩書は、元CTサーファーより名刺ジャンケンでは強そうな気がする。
どうやったらテニスやゴルフのように、ワールドツアー>オリンピックとできるか、WSLとしては真剣に考えたほうがいいと思う。余計なお世話ですが。
まぁ、IOCはIOCで今回のごたごたで、崩れた五輪神話をどう立て直すかという難問も抱えてるわけだけど、ある意味東京オリンピックは、正であれ負であれ、ものすごいレガシーをすでに残したと思う。オリンピック、いろんな部分で魔物やね。

エフプラス

写真はちょっと考えてみる犬と、考える気なんてまるでない猫たち。

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