コラム特集
ミックはマーガレット・リバーが嫌いだった!?[WSLディベート第16回]-F+(エフプラス)
Text by つのだゆきバースデーガール。
すでにガールではないこの歳になると、誕生日ごとに天寿をまっとうする日に接近していく感じになるので、あまりめでたくはない。なので、普通に過ぎていく。もうGWですよ、ついこの間お正月だったのに(笑)。
ウエスタンオーストラリアは波予報によるとかなりでかいスウェルに恵まれそうで、それを踏まえての今回のディベート。笑えるのはどうもミックは本当にマーガレットリバーのメインブレイクが嫌いだったようで、終始一貫、嫌いモード。確かにあの癖のあるメインブレイクの、掘れそうで掘れない、掘れなさそうでクローズアウト、は合う人にとっては腕の見せ所、合わない人にとってはストレスピーク。ミックが嫌いというのもわかる気はする。そしてコンディションによっちゃCT選手ですらパドルアウトが困難になるヘビースポットだ。今はジェットがあるからいいけどね。私の記憶ではマーガは波のでかいときはいつでも小雨交じりのドン曇りで風ビュービュー、試合やってるメインブレイクの右のボックスでフリーサーフィン、それも決まって2秒のショートバレルオンリーという印象で、昔は最速で秒3.5コマとかのフィルムカメラで、ピート・フリーデンが送ってくる写真のどのシークエンスもきっちりスライド7枚だったのを記憶している。ある意味マシンブレイク。
さて、それだけ違うオーストラリア前半2試合と後半2試合、どっちも行けそうだな、というオールラウンダーはカリッサとガブだと思う。このふたりは本当にスキがない。前々からロスはマーガとロットネストでのジャック・ロビンソンを押してるわけだけど、今回のディベートではあえてそこ外してきた。当たり前すぎるからかね?
すでにマーガはやはり風雨の中オン、ケガで欠場のレイキー・ピーターソンのリプレイスで入っている都筑有夢路は、キャロライン・マークス、マリア・マニュエル相手にラウンド1を1位抜け。まー、あのクローズセクションで当てて残るのが、今彼女があそこにいる理由だと思う。技術的には根本的に直さなくちゃならないところがあるけど、あのイケイケと驚異のバランスは武器。ジョン様10点満点、ガブ盤石。じゃ第16回、行きましょう。
1:ヘビーなウエスタンオーストラリアの波、選手は好きか嫌いか
ミック:基本的にはみんな好きだと思う。自然の魅力にあふれた風景やワイナリー、ビッグウエイブ、そのすべてを含めて素晴らしいところだ。でも僕自身はマーガレットリバーのメインブレイクは好きじゃなかったな。ポイントまでのロングパドル、テイクオフして7回ぐらいリップ、クローズアウトに当てて最後は岩にぶつからないように願う。1年のツアーでも一番嫌いな場所だったと思う。毎回確実にボックスでできるなら、ベストイベントといえるんだけど、メインブレイクはどうも……。できるだけ深いボトムターンをして、リップに行くとそこはいつも思ったのと違う感じ。うまく合わない。
ロス:確かにメインブレイクはチャレンジングな波だと思う。でもほかにないパワーや特徴のある波だ。レールサーフィンが不可欠な場所。だからここ2試合のビーチブレイクのあとにはこういうポイントもツアーには必要だと思う。
2:ボックスは世界でも最も恐ろしい波か?
ロス:タヒチやパイプを考えると簡単には言えないけど、僕はそうだと思う。そのひとつの要因はあの浅さだ。潮が引いているときは岩が顔出してて、板のボトムがガリガリになるぐらいでサーフできない。うねりの向きが南すぎればとても危険でこれまたサーフ不可能。技術のいる難しいドロップ、5フィート以上、6-8フィートになれば恐ろしい波といえる。3フィートのボックスでも十分恐ろしいけど(笑)。バレルオンリーで抜けるか飛ばされるかみたいなところ。テクニカルなドロップを決められるかどうかだ。確か数年前にガブリエル・メディーナが(危険すぎるからと)抗議しそうになったぐらいの場所だから。
ミック: 恐ろしいけど同時に楽しい波でもある。僕はパイプのほうがバックウォッシュとかいろいろあって恐ろしい。ボックスは本当に短くて激しい波だけど、後ろから押し出されちゃう感じだから。テイクオフは難しいし、前が見えるフロントはまだしもバックハンドには厳しいのかなと思う。
3:ウエスタンオーストラリアの2試合で、今下位にいる誰がランキングをあげてくるか
ミック:メインブレイク、ボックスの波を考えると、オウエン・ライトとミシェル・ボレーズかなと思う。オウエンのレールサーフィン、ミシェルのパワーサーフィンは合うはずだ。女子のほうではブリッサ・ヘネシー。オープンフェイスの波では良さそうだから。
ロス: そうだね、僕は女子のほうではブロンティ・マコーレーをあげる。ローカルだし、レジェンドのデイブ・マコーレーがお父さんだし、彼女は冬のハワイでもずっといいサーフィンしてたし。ビッグコールといえるだろうけど、彼女がセミとかまで行っても驚かないよ。メンズはセス・モニーツ。彼は12位で昨年を終えたけど、僕はトップ5に行けるサーファーだと思う。ウエスタンオーストラリアはノースショアに似てるし。穴としてはミギュエル・プポ。彼はかなり過小評価されてると思う。7年ツアーにいて最高位が17位とは思えない実力だ。彼もトップ5を狙えるひとりだと思う。ロットネストアイランドはリッパブルなメインブレイクって感じに見えるけど、どうなの?
ミック:そうだね、リッパブルなメインブレイク(笑)。どっちにしてもWAでランキングの入れ替わりはあるだろう。オウエン、ステフ、ミシェル、ミギュエル、ブロンティ、ブリッサ……トップ10の顔ぶれは変わってくるはずだ。
4:ツアーで誰がベストパワーサーファーか
ロス:ジュリアン・ウイルソン、ジョンジョン、ミシェル・ボレーズ、ウエイド・カーマイケルなんかが思い浮かぶ。女子ではカリッサかな。
ミック:パワーサーフィンといえばサニー・ガルシア、デーン・ケアロハ、ジョニー・ボーイ・ゴメス……でもいつでもその中に入るのはミシェル・ボレーズ。リップがどんなに分厚くても、ヘビーなセクションもお構いなし。ほかの誰と比べてもそのスプレーの厚さはナンバーワンだ。女子のほうではコートニー・コンローグ。予報を見るとメインブレイクはかなり大きくてパワーのある波になりそうだから、それを操れるのは彼女だろう。
ロス:もうひとりパワーサーフィンといって浮かぶのはオッキー。どんな波でも全開でいくから、今までに見た中でも最高のワンターンを時に見せてくれる。ひと口にパワーサーフィンって言ってもいろいろあるから楽しみだ。例えばジョンジョンは誰よりも長くレールを寝かせていられるだろうし、隠れたパワーサーファーも見たい。隠れパワーサーファーって誰かいる?
ミック:実は意外やパワーサーファーってのはフィリッペ。Jベイとかでのサーフィンはすごいよ。
ロス:実はキミこそ隠れパワーサーファーだと思う。パワーユニットつけてメインブレイクに行けよ。
ミック:やだよ、ほかの人にサーフしてもらうほうがいい(笑)
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