コンテスト
五十嵐カノアも大きく貢献!『Founders’Cup of Surfing』はワールドチームが優勝!
現地時間5月6日、カリフォルニア内陸部のレモーにあるケリー・スレーターのウェーブプール「サーフランチ」で開催されていたWSL初のリージョナル対抗のチーム戦『Founders’Cup of Surfing』はファイナルデイを迎え、五十嵐カノアが所属するワールドチームが優勝。
「サーフランチ」での史上初となる一般公開、ライブ中継がされた記念すべき第一回目のイベントには、オリンピックの視察を兼ねて訪れたISA会長のフェルナンド・アギーレ氏を始め、世界中からサーフィン界の重鎮が訪れ、歴史的な瞬間に立ち会っていました。
ファイナルデイはサプライズゲストのトム・カレンによるエキビションから始まる豪華さ。
予選ラウンドのRun3ではワールド、オーストラリアチームが3位タイになったため、ワールドはキャプテンのジョーディ・スミス、ペイジ・ハレブ。
オーストラリアはマット・ウィルキンソン、タイラー・ライトの各2名を選出してサーフオフが行われ、ワールドが勝利してファイナルへ。
ファイナルは予選ラウンド1位のアメリカ、2位のブラジル。そしてワールドの3チーム。
予選ラウンドとフォーマットが変わり、各チーム1名ずつ5ヒートを戦い、ヒートによって割り当てられたポイントの合計で優勝が決定。
ヒート1から3までは1位が2ポイント、2位が1ポイント、3位が0ポイント。
ヒート4(ウィメンズ)、5(メンズ)は1位が4ポイント、2位が1ポイント、3位が0ポイントに変わるため、スコアを出せる選手をヒート4、5に持ってくる戦略が必要になります。
詳細は以下で。
フォーマット解説
初日のリポートでもお伝えした通り、「サーフランチ」の波はパーフェクトながらレフトはファーストセクションでのターンからミドルセクションでのバレルの繋ぎが難しく、ファイナルでもアメリカ代表のジョン・ジョン・フローレンス、ワールド代表の五十嵐カノアなどがミスをする場面も...。
ライトも含め、この人工の波は’向き不向き’があるようで、プレッシャーやスコアを狙い過ぎる傾向も重なり、全てのセクションを完璧に乗りこなしていた選手は限られていました。
そんな中、昨年開催されたクローズドイベントの『Future Classic』で上位に入っていた選手は波が良く見えており、ブラジル代表のガブリエリ・メディナ、フィリッペ・トレド。アメリカ代表のカリッサ・ムーアは予選ラウンドからコンスタントにハイスコアをメイク。
もちろん、この波を一番良く知っているケリーも安定していましたが、エンドセクションでのエアリアルには手こずっていました。
ファイナルはH1からブラジルのガブリエル、アメリカのレイキー、ワールドのカノアが1位で2ポイントを手に入れ、H3終了後の時点でワールドがトップ。
カノア(写真上)はレフトでワイプアウトしたものの、ライトの波で長いバレルからエンドセクションでエアーからテールブローリバースのコンビネーションに成功して8.93をスコアしていました。
1位のポイントが倍になるH4ではブラジルのシルヴァナ・リマが長いバレルをメイクして1位になり、ワールドを抜かしてトップに立ちます。
最終ヒートのH5はワールドのジョーディがバレルからエンドセクションでアーリーウープをメイクして9.27でトップ。
予選ラウンドで唯一の10ポイントを出しているブラジルのフィリッペはスコアを狙い過ぎてミス。
そして、’大トリ’はアメリカのケリー。
ジョーディを上回ればブラジルとタイになり、サーフオフになるシチュエーション。
ある意味、「サーフランチ」のオーナーでもあるケリーにとって理想的なシナリオでしたが、エンドセクションでのエアーが決まらず、9.00と逆転には及ばず...。
ワールドチームが初の『Founders’Cup of Surfing』を制してイベントは幕を閉じました。
「チームとしての優勝、素晴らしい気分だね。この数日は波乱含みだったけど、それを上回るほど来たかいがあったよ。この週末はチームと話し合い、ファイナルデイは悔いも無かった。今回は全てのことを皆で楽しみ、それが勝利に結び付いたのさ。私達のチームは勝ち目がないと思われていた。その決意で戦ったんだ。皆で一つになり、お互いを信頼して協力し合ったんだ」
南アフリカのビアンカ・ベイタンタグ、日本の五十嵐カノア、ニュージーランドのペイジ・ハレブ、タヒチのミシェル・ボウレズ。
様々な国籍の選手をまとめ、最後にキャプテンとしての務めを十分に果たしたジョーディはイベントをこのように振り返っていました。
2位はアメリカ、オーストラリアと共に優勝候補だったブラジル。
前日の予選ラウンドRun2を終えた時点では4位でしたが、Run3で一気に2位になり、ファイナルではキャプテンのガブリエル(写真上)が唯一9ポイントを2本スコアする安定した強さで圧倒。
まだ経験が浅い14歳のタイナ・ヒンケルを他の選手がカバーする抜群のチームワークを見せていました。
「このチームは素晴らしい雰囲気でお互いを刺激しながら戦っていた。負けたのは残念だったけど、私達が披露したパフォーマンスには満足しているよ。チームとして本当に良いサーフィンが出来たし、私達のショーを見せる楽しいイベントだった。皆でこの瞬間を共有して話を出来るのは最高。若いタイナにとっては新しいことばかりで、私達のようにプレッシャーにも慣れていなかったけど、これから彼女をサポートしていきたいね。彼女が将来またこの舞台に立った時、素晴らしい雰囲気で準備出来るようにね」
イベント唯一の10ポイントを出したフィリッペ(写真上)は特別賞の『Jeep Best Ride Award』を受賞、スポンサーのJeepが贈呈。
予選ラウンドで見せたエアーリバース、アーリーウープ、バレル、スタイルあるマニューバー。全てが完璧に揃った一本でした。
「サーフィンの未来の舞台にブラジル代表として参加出来たことは名誉さ。ガブリエル、ジョン・ジョンとチームでサーフィンすることの素晴らしさを語ったんだ。チームが一致団結して他のメンバーを全力で支える。この素晴らしい経験を忘れないよ」
自らが10年を費やして完成させた夢の舞台で歴史的なイベントの主役として一番楽しんでいたケリー(写真上)
昨年のJ-bayでの怪我の治療が長引き、今シーズンはCTで一度も戦っていませんが、このために温存していたのでは?と思わせるようなサーフィンを披露していました。
「大成功だったと思うよ。サーフィンを知らない人からハードなサーフィンファンまで全ての人が楽しい時間を過ごしていたよね。この波だからこそ分かりやすいし、沢山の笑顔があったと思う。他のチームは後半にかけて良くなり、僅差になった。ファイナルの計画は更に良くなったよね。自分の番が回って来た時、ブラジルに並ぶチャンスか、もしくはワールドが優勝するかのどちらかという面白いシチュエーションになったんだ。彼らの戦いぶりは素晴らしかったし、全てが各国の代表にふさわしかった」
最も進歩的なエアリアルをメイクした選手に贈られる『Quiksilver Best Air Award』は予選ラウンドでテールハイ・エアーリバースをメイクしたジョン・ジョン(写真下)が受賞。
サイモン・アンダーソンの歴史を変えた1981年のスラスターのレプリカが贈呈されました。
9月6日〜9日にはこのサーフランチを舞台にしたCT第8戦『Surf Ranch Open』が開催。
チーム戦とは違う面白い勝負が期待出来そうです。
『Founders’Cup of Surfing』結果
1位 ワールドチーム
2位 ブラジルチーム
3位 アメリカチーム
4位 オーストラリアチーム
5位 ヨーロッパチーム
WSL公式サイト
現地カメラマン「スティーブ・シャーマン」の画像を交えたリポートはコチラ
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