- ★台風 北上中に西よりから徐々に東よりに進路変更する一般的な台風
- まず台風ははるか南海上を偏東風に乗って西へと移動するが、台風の自転の関係で北寄りに進路を変える。その後、偏西風帯が南下している秋〜晩秋にかけては、一般的に日本の南海上北緯20°線辺りで偏西風の影響を受け、徐々に進路を東よりに変えながら日本列島に近づき、最後は北東方向に抜けていくというパターンとなる。このため、太平洋側のポイントには南西の台風スウェルが西日本の南向きのポイントから順に東日本のポイントへと入り始める。台風にからんだ雲が空にかかる前の好天時には、沖合いからのウネリが届いてベストなコンディションとなり、各地のクラシカルポイントが本領を発揮する。このパターンは台風が一年を通じて日本列島にもっとも接近するパターンであり、通称、転向型台風とも呼ばれる。ただし、上陸したり接近しすぎた場合には、風雨が強まりストーミーなコンディションとなってしまう。また、東よりの進路を妨げる太平洋高気圧の勢力が強すぎたり、台風を東に移動させる偏西風帯が北に寄りすぎていたりすると、台風の東よりへの進路変更が遅れ、そのまま東シナ海に入ってしまう。このような時は台風が日本列島に接近すればするほどウネリの向きが西に寄りすぎるため、太平洋側の各ポイントでは台風スウェルが九州にブロックされ、ウネリが入りにくくなるとともに、日本海側に入ると同時に南よりの風が入り始め、コンディションが乱れることが多い。
和歌山 磯ノ浦
四国と紀伊半島の陰となる湾奥に位置するため、台風スウェルをキャッチする条件は台風の勢力・位置・移動速度・潮の動きなどの細かい制約を受け、しかも強い南ウネリの時のみに限られる。一般的に四国の内妻や磯ノ浦の南に位置する御坊方面でサイズアップするかどうかが台風スウェルキャッチのバロメーターとして使われている。また、磯ノ浦は東経137°より東に進んだ時のウネリが極端に入りにくいため、台風が南海上を通過した後のサイズダウンはかなり早いが、移動速度が遅いと意外とウネリが残ることもある。
伊勢 国府の浜
東を向いたビーチのために西よりのウネリにはあまり反応しないが、南海上を通過した後の南〜南東のウネリでサイズアップする。ただし遠浅の地形のため、グランドスウェルとなるとクローズアウトしてしまう場合が多い。このような時は、南端の観覧席Pや、ウネリが岬を回り込んで入る御座白浜Pでサーフィン可能となる。また、このエリアで南ウネリに反応するポイントとなる南張・ジャンPは国府の浜よりも早く台風スウェルをキャッチする。
愛知 伊良湖
外洋に面し東西に長く平坦なビーチが続くこのエリアは南西〜南東におよぶ広範囲なウネリを拾うため、台風スウェルを伊勢方面よりも早くキャッチし、しかもサイズダウンのタイミングも遅くなる。ただし、東よりの風に弱いポイントが多く、台風の接近に伴うグランドスウェルが入って東よりの強風が吹くと、このエリアで最も東の風に強い渥美半島最西端にある先端ポイントのみのサーフィンに限られる。また、表海に面したポイントが強いウネリでクローズアウトしたがクローズアウトした際には湾内の知多エリアも要チェックとなる。
湘南
南西からのグランドスウェルがベストとなるクラシカルポイントを有するこのエリアにとって、エクセレントブレイクに出会える確率が1年を通して最も高くなるパターン。ただし湾奥のエリアであるため、ウネリが入り出すタイミングは微妙である。一般的に台風が西からこのエリアの南海上に接近するにつれサイズアップし、東に遠ざかるにつれサイズダウンする。東海上に抜けてからのウネリは入りづらく、台風が北上すると完全に反応しなくなってしまう。また台風がこのエリアに上陸もしくは近すぎる進路を取った場合は、吹き返しの西よりの風によりコンディションを乱されることが多い。